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ブリグズビー・ベアのandesのレビュー・感想・評価

ブリグズビー・ベア(2017年製作の映画)
3.6
かなり「甘い」映画である。ご都合主義と感じる人もいるかもしれないが、しっかりその「甘さ」に一貫性があり、感情的になり過ぎないのは好感が持てる。変化球青春映画の佳作。
冒頭のSF映画っぽい導入から掴みは出来ているし、突飛な設定もギリギリ許容できるラインに抑えているのもクレバーである。非常に良いのは主人公が明るく前向きな点である。行動力があるのは重要で、受動的だった「昔の自分」から、周りを巻き込んで能動的に未来を切り拓く「今の自分」と分かりやすい成長が描かれる。
カルチャーギャップなギークものであるが「イジメ」的な紋切り型演出を避けて、俺の監禁物語(ブリグズビーベア)の“最終回”を作り、映画によって自分(そして周り)を重荷から解放するのである。
もちろん、誘拐の扱いは難しいところだが、その是非にスポットを当てた映画ではないし、普通に刑務所にいるので描写としては問題ないだろう。そして大切なのは、誘拐犯の親父も面会により救われるのだ(映画によって!)
最後、任務(人間的成長という役割)を終え、ブリグズビーベアは旅立つ。主人公にとって、もう彼は必要無いのである。何となくウディ・アレンの「ボギー!俺も男だ」を思い出したり。意外と感動してしまったので、評価は甘め。うん「甘い」映画である。
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