木葉

ブリグズビー・ベアの木葉のレビュー・感想・評価

ブリグズビー・ベア(2017年製作の映画)
3.7
25年間、信じてきたものが、ある日、嘘だとフィクションだと伝えられる。自分は赤ん坊の時誘拐され、誘拐犯に育てられ、シェルターから一歩も外に出たことはない。そんな彼が毎日楽しみにしてたのが、誘拐犯の父親が作ったブリグズビーベアというテレビ番組だ。世界中の誰もが知ってると思ってた番組は、実は誰も知らなかった。
主人公ジェームスにはブリグズビーベアで得た知識、見てきた世界が全てで、本物の世界、本物の両親、家族に、なかなか馴染めない。
そして嘘を本当にしてしまおうと、自らブリグズビーベアの続きをシナリオを作り映画を撮ろうと立ち上がる。賛同してくれるスタートレック好きな友達のキャラが優しくていい。初めて本物の世界で出来た親友が包み込んでくれるように優しいのだ。ジェームズの両親、ジェームスに協力してくれる警官、誘拐犯の両親だってそんな悪い人ではなく皆いい人ばかりだ。
映画好きな人なら主人公ジェームスの気持ちが分かる、チープでも手づくりで自分の映画を作ってみたいと思う。映画愛が込められている。嘘だった作品自体に罪はなく、その作品こそが自分の支えであり、自分の人生を肯定してくれるものだった。
善悪の線引きをせずに、ありのままを受け入れ、好きを原動力に、良き理解者たちと共に前に進んでいく。
感動を押し付けられず、じんわりと作品の持つ温かさに癒される。ちょっといい話は最後まで清々しく、心に沁みてくる。
木葉

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