どらこ

アルカディアのどらこのレビュー・感想・評価

アルカディア(2017年製作の映画)
3.9
普通に面白い。
かなり好きな部類の映画。

今俺の中で超ブームになっている村ホラー。



ある日、カルト教団から兄弟が逃げ出した。
その兄弟の告発により、その教団は集団自殺や去勢を是とする異常者集団ということが世間に知れ渡る。
それから10年後、最底辺ギリギリの生活を送っていた兄弟。
なんやかんやあって弟が現在の教団の様子を見にきたいと言い始め、1日限定で戻ることに。
的な流れ。


とにかく弟のアーロンがクズ過ぎて腹立つ。
コイツのわがままに付き合って教団に行き、ここに残りたいと駄々をこね、射的や儀式で下手だった兄を煽りまくり、
ラストでも兄を見返したかったとほざくクズ。
ことの原因はほとんど弟のせいにも思える。


自分たちを告発した裏切り者兄弟が戻っても、遺恨を残さず明るく接してくれる教団の人々。
自給自足で生活し、大自然の中のびのびと暮らす彼らは自由そのもので、
とても快適に見える。

カルト特有の気持ち悪さや閉鎖的な感情はほとんどない。
しかし、ここは変な違和感が点在する。


・異常に若い教団の人々
・超常現象が起こる日常
・「何者か」から送られるメッセージ
・歪む景色と増幅する月
・点在する謎のオブジェ
・同じ時刻を繰り返す時計
・同じフレーズを繰り返す蓄音機

所々、謎の要素が散りばめられている。
前半部分に謎が提示されるが、視聴者の大半は「あっ、これループしてるな」と思ったことだろう...

俺もその事に気付いてニチャァ…としていたけど、その後の展開は予想を上回る展開だった...






ーーーーーーーここからネタバレーーーーーー

謎のオブジェは、神の領域を示す境界線だった。
そのエリアに住む住人たちは全員神の供物。
その神というのが、異形の神。

無限に死に続け、無限に元の生活を繰り返す。永遠に体を捧げ物にされ続ける人々。
エリアによってバラバラの周期でループが起き、
場所によっては10秒おきに死に続けなきゃいけない人もいた….

姿を見せない、もしくは見えてはいけないという点から、
間違いなくクトゥルフ神に関連した神だと思う。
作中でもラヴクラフトについて言及しているしね。



姿の見えない脅威、何も解決していない現状は、人によってはすごくモヤモヤするかもしれない。
俺的には見えないからこそ、何か底知れない存在を感じる事が出来て結構怖かった。

ラストの教団リーダーの微笑みは、とても切ない。
そこに悪意はなく、「またな。。」みたいな感じ。
彼らは死ぬことも出ることも出来ない、呪われた運命なのだから….

終わりがないのが終わり。G・E・レクイエムやんけ...

まさに「無限ループって怖くね?」を地で行く映画。


まだまだ判明していない謎が多いので次回作も作れそう。
これの後に「キャビン・イン・ザ・フッド」を観た方が絶対にいい。
物語の理解度が格段に変わってくるかと。


理想郷だけど永遠に同じ日常を繰り返す幽界(かくりょ)と、
クソみたいな日常だけど人として生を全うできる現世。
どっちがいいんすかね、、、、
どらこ

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