おいなり

ワンダーウーマン 1984のおいなりのレビュー・感想・評価

ワンダーウーマン 1984(2020年製作の映画)
3.8
"チカラは必要ない。コツがあるの"


待ちに待ったWW84がやああああっと公開。もともとは夏頃公開だったと思うけど、なんやかやクリスマスシーズンに公開でちょうど良かった感もある。
ザック・スナイダーが抜けて、灰色の画面は80年代風のパッキリとした原色にイメチェン。スナイダー得意のスローモーと加速を交互に繰り返すアクションシーンもほぼなくなり、ケレン味が抜けてまぁ悪くいえば平凡な印象に。前作の主要なアクションシーンてこっそりスナイダーが撮ってたんじゃ……と思うほどスナイダーぽかったのに比べると、ちょっとアクション映画としての見所は減っちゃったかな。単純に今何やってるのがわかりにくくて見辛い場面がけっこうあった。珍しく傷つきながら戦うダイアナや、前半の鬱憤を晴らすように暴れる終盤の黄金聖闘士ダイアナはカッコ良かったです。そういえば今回、剣と盾はどうしたんでしょうね。
最近の映画は全部そうですが、予告編でいいところを見せすぎですね。予告編に出てきたアクションシーンは劇場で観てもカッコよかったけど、「予告でこんなにカッコいいから本編はもっとすごいに違いない!」と思ったら大抵そんなことないんですよね。映画館にいけば嫌でも繰り返し予告を見るハメになるんだから、もうちょっと美味しいところを残しておいてほしい。
アクションがやや低調な分ダイアナとスティーブのバディムービーに振ってて、これは見てて楽しかったしもっと見たかった。この二人は前作と立場が逆転してるんですね。変な服ばっかり着たがるスティーブが可愛かった。

ワンダーウーマンがスーパーマンみたいに飛べることはコミックファンには周知のことですが、映画版のWWが「飛べるようになるまで」のシークエンスがひとつの物語になっていて、これはMoSのスーパーマンが飛ぶ過程の85倍よかった。これは伏線やわって会話聞いててわかるんですが、最高の場面で最高の回収をしてくれるので、めちゃめちゃ感動した。何度も大切なものを失ってそれでも戦い続けるWWは切ないヒーローだね。
そんな中盤はけっこう面白いんですが、前半いろいろ詰め込まれててゴチャついてる印象があったのと、あとはボスとの決着の方法に説得力がほしかった。言いたいことやりたいことはわかるし、前作のボスとの対比をつけたかったのもあるだろうけど、いったいどうなるんだ!?→えっ……それで終わり?っていう拍子抜け感があったかな。実は倒したはずのアレスが黒幕で、人間の悪い心を利用して蘇ろうとしてる……けどより強い人間の愛の力で乗っ取られかけた精神を跳ね除けて……とか、前作との繋がりを感じさせるようなワンエピソードがあるとなお良かった。
ものすごい力技でいきなりカイロに行っちゃったりするのはむしろ昔のドラマみたいで逆に面白かった。ご都合主義なとこも含めて、すごく80年代っぽい。

ガル・ガドッドさんは演技が上手いというタイプではないけど、表情ひとつで色んな感情が伝わるのがとてもいいですね。最後の笑顔がとてもよかった。
現代に適応したダイアナの立ち振る舞いがとてもスマートで、ガルさんの魅力がこれでもかと詰まってました。女神。

ラストは衝撃。アメコミ映画に慣れてるみんななら大丈夫だと思うけど、エンドロールがはじまっても席を立つんじゃないぞ!


それにしても、あんな派手にヒーロー活動してて後世になんの証拠も残らなかったのは、WWがすごいのか、レックス・ルーサーのリサーチ力がザルだったのか……。
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