なお

ワンダーウーマン 1984のなおのレビュー・感想・評価

ワンダーウーマン 1984(2020年製作の映画)
3.8
"「今日」も「世界」も救え"

DCEU第9弾。
故郷・セミッシラを離れたダイアナ・プリンス/ワンダーウーマンが、スーパーマンやバットマン、その他ジャスティス・リーグを構成するメンバーと出会う少し前---1984年が物語の舞台。

博物館の学芸員として働きながら日々を過ごすダイアナの前に、新任のスタッフ、バーバラ・ミネルヴァが赴任する。
バーバラが調査を担当された、とある石。それを引き金に、またもダイアナは文字通り「世界を巻き込んだ」戦いへと足を引きずり込まれていく…

✏️評価点と問題点
フォロワーの皆様の評判を見ていると、かなり、いやかーなーり酷評されてるイメージがあった本作。
いざ蓋を開けてみれば、まあ言うほど悪くはない、でも前作ほどの評点を付けられるか?と問われると微妙な内容。

・蘇るスティーブ
相も変わらずガル・ガドット嬢はお美しい………
という与太話はさておき、ダイアナととある石の力によって蘇ったスティーブが織り成すアクション、そしてロマンス活劇は見ていて楽しい。

約70年ぶりに現世に復活したスティーブがカワイイ。
1980年代前半~中盤のファッションやカルチャー、先端技術に触れ目を丸くしたり、まるで少年のようにはしゃいだりしてダイアナとの"デート"を楽しむ姿は微笑ましい。

前作では、セミッシラから出てきたばかりの"田舎娘"であったダイアナに現代の文化を教えていたスティーブだったが、完全に立場が逆転。
思わずニヤニヤ。

しかし、そんなスティーブもやはり元軍人。
戦闘面でもダイアナを十二分にサポートする。

息の合ったコンビ、かつ戦場で背中を預けられるパートナーだからこそ、あの突然訪れる別れ際はなんとも物悲しい…

・絶妙なパワーバランス
『バットマンvsスーパーマン』で登場した最凶ヴィラン・ドゥームズデイとほぼ唯一互角に肉弾戦で渡り合ったワンダーウーマン。
本作では、そんなワンダーウーマンが力を失う。

それもスティーブを例の石で復活させてしまった"代償"であるが、そこで逆に力を得たのが本作ヴィランのひとり、バーバラ。
職場でもプライベートでも存在感が薄く、女性としての魅力がゼロに等しい彼女が得た力の矛先は、徐々に良くない方向へと向かっていく。

「力を失った者vs力を得た者」という構図は、いくらワンダーウーマンが主役の作品と言えど思わずハラハラしてしまった。

・欲望
本作では、前述のバーバラ、そして例の石を求め暗躍するもう一人のヴィラン、マックス・ロードによって事件が勃発する。

しかし、今回ダイアナが戦ったもう一つの敵。
それは「人間の欲望」だ。

「どんな願いでも叶えられる」というその石の効果は凄まじく、高級車が欲しいとか100万ドルが欲しいとかそんな俗っぽい願いから、「国家を復活させたい」「核兵器を増やしたい」といった、人びとの暮らしや価値観をも容易に変えてしまいかねない願いまでも簡単に実現させてしまう。

そして、「何かを得る」ということは「何かを失う」ということ。
「コンビニでおにぎりを買いたければお金が必要」という小学生でも知っている「ギブ&テイク」の理屈を忘れ、ただ欲望のままに自分の願い事を無責任に口にする大人たち…
これまでDCEUで登場してきたヴィランとは一味違う、違った意味の怖さを持つ展開であった。

だが、この地球全土を巻き込んだヴィランの所業。
少し風呂敷を広げすぎでは…?という気も。

最終的には広げまくった風呂敷を「あー、なんだかんだ息子がカワイイので、願いを取り下げます」の一言で終了させてしまう。
畳めなくなった風呂敷を、制作陣が魔法の一言で無理やり畳みに行ってないか?という感じ。

・燃えろ、私の小宇宙(コスモ)
アクションシーンも、前作と比べるとちと物足りない。
ピークはワンダーウーマンがエジプトで見せた、カーチェイスの中行われるシーンくらいか。

クライマックスのダイアナvsバーバラでは、いつもの赤と青のアーマーではなく、聖衣(クロス)…もとい全身金色の防御力微増・カッコよさ半減のアーマーにフォルムチェンジ。

「聖闘士星矢やん!」
と自宅でひとりツッコんでしまうくらいには聖闘士星矢。
伝説の戦士・アステリアから受け継いだアーマーではあるのだが…

ちなみに、ポスト・クレジットにも出演したアステリアを演じたリンダ・カーター。
彼女はテレビドラマ版『ワンダーウーマン』にてダイアナを演じたその人であり、この事実を知る人からすればニクイ演出。

・予測可能
上に挙げた良い点悪い点含めての話だが、本作で巻き起こる事件と、それを巡るほぼ全ての展開が素人の自分からしても「予測可能」なのである。

創作物に登場する「願いを叶える石」がノーリスクでその人の願いを叶えてくれる、なんてのはあり得ない話。
愛する息子がいる父親が突如ものスゴい力を手に入れ暴走するが、最後には息子への愛を取り戻し我に返る…これも予測可能。

蘇ったスティーブも力を手にして暴走するマックスも、結果的には観客が見ながらでも想像できる範囲内の結末に収まってしまうのは非常に残念。

☑️まとめ
手放しでは褒められないけど、だからといってボロクソに叩くほどでもない。
正に五分五分といった評価に落ち着いた。

やっぱりどうしても、この内容で2時間半は長い。
30分上映時間を短くしてくれれば、★4つには届いたかも。

🎬2022年鑑賞数:88(37)
※カッコ内は劇場鑑賞数
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