ヨミ

007/ノー・タイム・トゥ・ダイのヨミのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

007は死なない(”ただの数字”なので)。



『スターウォーズ』新シリーズについて、「せっかく6作かけて均衡したフォース・バランスがディズニー(が続編を作るため)によって崩された……」という言があったが、そういう感じが少しする。これまでにブロフェルド引っ捕まえたりして色々解決!ってなったけど”過去が追いついてくる”ことで問題発生!どうなっちゃうの〜?という筋だが、この手の「残党」系や「因縁」系は続編のためのミザンセンって感じがすごい。
ここまで書くと「あんま良くなかったのか」と思われるかもしれない。ところがどっこい、サフィンのキャラクター立ちが強すぎてもう「続編のためのキャラじゃん」というより「こいつでいいじゃん!」となる。いや、毒草使いが1番かっこいいのよ。テクニカル系好き。
あと敵の本拠地が北方四島付近にあることや、サフィンが畳を敷いた部屋にいたり羽織を着てたりなどの日本モチーフ(北方四島を日本モチーフと呼ぶのは政治性が入り込むが)もまたキャラクターの確立に寄与していた。コンクリ打ちっぱなしの直線的空間に日本的な庭園、せせらぎ、石庭、畳とあるのは、よく言えばおしゃれ空間。しかし悪く言えば「マルジェラとかモード系デザイナーズをメインで扱ってる地方のセレクトショップ」という感じが拭えない。Ten-Cの受注会とかしてそう。

あとぼくは『ブレードランナー2077』以来、アナ・デ・アルマスさんが好きなんですが、今回めちゃくちゃ良かったですね。ゲスト出演かってくらいの登場の時間だったけど。「私ここまでだから!」って登場人物が宣言するの笑う。

『007』シリーズはコネリー版しか観たことがなく、今回のためにクレイグ版を一気観したのだが、観てよかったと思う。「クレイグ版はシリアス路線」という言を信じて「いやぁ、007はバカ兵器とか出てくる軽薄映画(褒めてる)って認識だもんなあ」と避けていたが、ちゃんとバカ平気とか出てくるし、ボンドは軽薄だしで素晴らしい。クレイグ版では『スカイフォール』が1番好きだったが、今回はそれにかなり近い。まあ、円形の長い廊下でボンドがカメラに向かって銃撃するシーン(定番の銃口に向けて打つオープニングに重ねられている)観た瞬間、「ここがやりたかっただけだろ!」と笑えた。そういうちょっとした様式美の積み重ねは大事なことです。

ところでこの物語で1番大変なのはボンドでもなく、サフィンでもない。勿論マドレーヌでもない。恐らくはMと外務大臣だ。だって日露衝突地域に突如ミサイル打ち込んで島の一部を破壊したんだものね。それどうやって外交処理するんだろう……。
ヨミ

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