なお

007/ノー・タイム・トゥ・ダイのなおのネタバレレビュー・内容・結末

4.6

このレビューはネタバレを含みます

007シリーズ第25作にして、”6代目”ダニエル・クレイグが演じる最後のボンド作品。

2021年の10月から始めた007シリーズマラソンも本作にてようやく完走。
本当は本作が劇場公開されている間に完走したかったのだけれど、だいぶ、というかかーなーり遅れての完走になってしまったな…

✏️疑念
007シリーズ史上最高傑作といっても差し支えないのでは…?
と思ってしまうほど、ほぼ全てが完璧の作品。

まずは挨拶代わりに展開される、イタリアの街中で展開されるバイクアクション。
前作『スペクター』公開から6年の時が経ち、年齢は既に50歳を超えていたクレイグだが、それを感じさせぬキレのあるアクションはやはり健在。

辛くも敵を一掃したボンド。
しかし愛していたはずのマドレーヌに陥れられたのでは…という疑いが晴れず、ボンドは彼女との辛く悲しい「別れ」を選択する。

✏️初々しいボンドガール
マドレーヌとの別れから5年が経ち、ジャマイカでひっそりと隠居生活を送っていたボンドは再び死地へと赴く。

このジャマイカにおける一連の作戦でボンドと共闘することになるのが、盟友フィリックスと同じくCIAエージェントのパロマ。
このパロマを演じたアナ・デ・アルマスがまあ可愛すぎる。

パロマはエージェントの任務に就いてからまだ1年も経っていない新米だが、戦闘能力はボンドに劣らず一級品。

だけどまだどこかエージェントとしては抜けた部分もあったり、重大なミッションを前に緊張しているような一面を見せたり、シリーズ史上「最も初々しい」ボンドガールだったのではないだろうか。

ジャマイカでの作戦を最後にパロマとは別れることになり、本作での彼女の活躍はここまで。
願わくば本作全編を通してでも活躍させてほしかった。

✏️2人の007
ボンドが引退したことにより、空席となった”007”に新たにノーミ(ラシャーナ・リンチ)という名の女性スパイが就いた。

せっかく自分が007になったのに現場復帰してきた”先輩”を目の上のたんこぶ扱いして、最初は邪険に扱っていたノーミ。
しかし徐々にボンドのことを認め、ラストミッションを前にボンドを再び”007”とするよう直訴するまでになる。
この「2人の007」の関係性も本作においては欠かせないピースの1つ。

特に、ボンドが裏切り者のアッシュに引導を渡した後、ノーミが運転する車内にて、ボンドがノーミに向かって「ありがとう 007」と言うシーン。
ボンドらしいジョークだったのかもしれないが、個人的にはなぜかあそこが一番グッと来た。

✏️ガンバレル・シークエンス
本作冒頭で伝統のガンバレル・シークエンスが流れるワケだが、ボンドがこちらに向けて銃を撃った後もなぜか画面の上から血が流れてこない。

その理由は、ボンドが敵の本拠地に乗り込んだ後の戦闘シーンにて明らかになる。
本作を見た人ならばわかる、思わず度肝を抜かれるだろうあのシーン。
あそこがマジでカッコいい…

✏️2人は僕の…
本作を名作たらしめる最大の要素。
なんと、ボンドとマドレーヌの間にはマチルドという名前の娘ができていた。

この事実が判明した瞬間、もうこちら(観客)からするとボンドは「世界を守るために戦うスパイ」であり「家族を守るために戦うお父さん」になってしまうワケで。
というかもう後半は完全にボロボロになりながらも必死に戦うお父さんにしか見えなくて。

それだけに。それだけに。
ボンドの最期を飾るシーンは実に物悲しく、哀愁が漂う。

☑️まとめ
1962年公開『ドクター・ノオ』から数えて、実に6人もの”ジェームズ・ボンド”が人知れず世界の平和を守ってきた。

その中でこの”6代目”ダニエル・クレイグが唯一劇中にて名誉の殉職という形でシリーズを去ることになり、また唯一「家族」という歴代のボンドたちが残してこなかった「足跡」をシリーズに残すこととなった。

ダニエル・クレイグはボンド役就任当初、これまでのボンドのイメージと違うという理由でバッシングを受け、一時はアンチサイトもできあがるほど不人気だった。

しかし蓋を開けてみれば、寡黙でタフなボンドを15年ものあいだ演じ切り、見事ファンの心を掴んでみせた。

「007はただの番号」
ノーミは劇中でこのようなことを語っていたが、これはたしかにその通りだ。
どんなに敵に襲われても、時に上司の命令に背いてでも、たとえどんなに泥臭くあろうとも、平和を脅かす魔の手から世界を守るという矜持さえあれば、誰にでもこの「007」という番号を背負う資格がある。

”JAMES BOND WILL RETURN”
エンドロールはこの短くも我々の期待をこの上なく高めてくれるメッセージを残し幕を閉じる。
「殺しのライセンス」を次に受け継ぐのは、一体誰なのか…

<作品スコア>
😂笑 い:★★★★☆
😲驚 き:★★★★★
🥲感 動:★★★★★
📖物 語:★★★★☆
🏃‍♂️テンポ:★★★★★

🎬2023年鑑賞数:19(4)
※カッコ内は劇場鑑賞数
なお

なお