父母ともに癌

さらば青春、されど青春。の父母ともに癌のレビュー・感想・評価

さらば青春、されど青春。(2018年製作の映画)
2.2
東大に入学したはいいけれど、色々上手くいかなくって宗教を開く話。

主人公が様々な挫折をして追いつめられていくうちに「霊言」というものが急に降ってきて、天上界の神々と会話できるようになって、宗教を開くか悩んでいくんだけど、勉強のできる田舎の人が東京に出てきて様々な挫折を経験して徐々におかしくなっていく様子を上手く描けていたと思う。
いろんな映画で描かれるテーマで、挫折の末に音楽があったり政治があったり犯罪があったりやくざとしての生活があったりするけど、この映画は宗教があって、そういう面では「ザ・マスター」と似てるけど、視座が違う。この映画は宗教の側から描いている。

見終わって、ああ、この宗教を開いた人がこの映画の製作総指揮なんだ、という不思議なメタ・カタルシスがあったし、諸々挫折の理由づけにも納得がいくというか。理屈への納得じゃなくて感情への納得だけど。
女にフられた理由を相手側の(こちらからは知る由の無い)視点から描いてあの時の自分に対して自己肯定するとことか。気持ちはわかるけどなんか変な涙出そうになった。

演出は諸々なんなんだろう。会話シーンの演出に違和感は無いんだけど、ニューヨークのビルに向かって割りと大きい声で独り言を言ったり、天上界の人々の声にエコーがかかっていたり、宇宙のシーンから始まるんだけどその宇宙の解像度があんまりよくなかったり、頻繁に射す後光のチープ感とか、なんかそういうトリッキーな演出部分のいまいちさが気になった。

ビートきよしが出てきて、一言だけセクハラ発言をしてその後一度も出てこないのは笑った。

千眼美子の演技が上手くて、良かった。
「このビーフストロガノフ美味しい」みたいなスカタンな台詞をちゃんと上手に自然に言っていて、才能があるんだなあ。と思った。

僕はちゃんと1800円払って観ました。
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