けーはち

チャンプ/チャック 〜“ロッキー”になった男〜のけーはちのレビュー・感想・評価

3.3
『ロッキー』のモデルとなったボクサー、チャック・ウェプナーの伝記映画。天下無敵の王者モハメド・アリに挑み、下馬評は散々ながら最終ラウンドまで持ち込む善戦を見せて一躍持て囃され、その試合から着想を得て作られた『ロッキー』は大ヒットを記録したが、彼は一瞬の栄華とともに坂道を転がり落ちた。本作の一番滑稽な所は、スタローンに絡んで『ロッキー2』の撮影に参画するも、コカインでの乱痴気騒ぎが祟って何も出来ず追放され、現役引退後はヤクの売人に堕落→実刑→家族も失う人生転落劇。『ロッキー』のモデルだからと言って主人公と自分を重ね過ぎて自分の実力以上に自己評価が舞い上がってしまって墜落した彼の人生に、人に夢を与える創作物の光と闇と、度し難い人の愚かさの悲喜劇を感じさせられる。クスリ絶対ダメ。なお、映画では「本当の愛を知って改心しハッピーエンド」風に締めくくっているが、彼は最終的に『ロッキー』シリーズに対する訴訟を起こし、額は非公表だが和解金を貰っている。