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チャンプ/チャック 〜“ロッキー”になった男〜のmikanmcsのレビュー・感想・評価

3.5
へー、こんな映画あったんだ、と興味深く鑑賞。あらすじだけ見て「ロッキーの二番煎じかよ」と思ったら、なんとスタローンが「ロッキー」を思いつく契機になった実在のボクサー、チャック・ウェプナーの実話だそうです。こっちが大元だったのね。。ロッキー・ファンとしては見るしか無いでしょう!と喜んで鑑賞しましたが、なかなかほろ苦い話でした。

借金の取り立てをやってたような冴えないボクサーが指名されて急にアリと戦うことになって、、という大筋は「ロッキー」そのものなのですが、健闘虚しくアリとの試合に負けた時点で映画は約40分しか経ってません。。。物語のクライマックスがもう来ちゃって、あとどうなるの。。と思ったら、ここからが本番。有名になったチャックさんは舞い上がってしまって、酒、女、クスリ、と本来の「ダメ男」ぶりにどんどん拍車がかかっていきます。いい線いってるボクサーでも私生活で自分を律するのは難しいんですねえ。根は悪い人ではないんだけど。。「ロッキー」がアカデミー賞獲ったら、自分が獲ったかのように喜んでたし。。ワタクシは以前から「ロッキー」も後半の試合の盛り上がりより、前半のうらぶれた冴えない姿に「ジーン」とくるんで、本作でのチャックさんの落ちぶれていく姿にも感じるところがありました。

チャックさんは「ロッキー」の映画化に際して一銭ももらってないそうなんですが、困ってスタローンに連絡をとると、歓待してくれて映画出演に骨を折ってくれたりするシーンもありました。恩を忘れない、やっぱ人間できてるなあ、スタローン。

ジムのオーナー役でロン・パールマンがでてましたが、彼ってその得意な風貌を生かした戯画化されたキャラが多いんで、普通の人を普通に演じてるのは初めて見たかも。。

「ロッキー」がある種の「お伽話」だとしたら本作は「現実」を見せつけられるほろ苦い映画ではありますが、「ロッキー」ファンは背景として見ておいてもよいかもしれません。
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