安堵霊タラコフスキー

少女は夜明けに夢をみる/ 夜明けの夢の安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

4.4
予告の時点で見たいと思っていたら公開終了間際まで先延ばしになってしまったけど、実際見たら案の定暗い気持ちになれて良かった。

不遇な環境もあり犯罪に手を染めることとなった少女たちを撮ったドキュメンタリーで、その映る少女たちからはイランの闇みたいなものがひしひしと感じられるので(10代なのに出産経験ある娘がそこそこいて親類には薬物依存者が多数ってどう考えてもおかしい)、やはり人間社会は糞だという気持ちを改めて抱き厭世主義と反出生主義を強めることとなった。

一方で映像面でも好印象なところが多く、画質がそこまで良くないながらも風景のカットが美しい場面ばかりで、しかも二段ベッドの下から上へのインタビュー対象の変更とか面白い試みもあったのでやはりキアロスタミやパナヒの国は一味違うと唸った。

しかし少女たちとは対照的にここで出てきた大人たちが誰も信用できなく思えてしまったのは演出や編集のせいか自分の心が荒んでいるせいか、はたまた子供らの立場にあまり立っていない大人らに問題があるのか……。