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顔たち、ところどころのyonemakoのレビュー・感想・評価

顔たち、ところどころ(2017年製作の映画)
4.9
2019年に90歳で没したアニエス・ヴァルダの最後の作品。フォト・グラフィティ・アーティストのJR(33歳)と、普段はフランスでもあまり目を向けられていないところに赴いて(たとえば元の炭鉱町、農地や海辺の小さな町など) 人々に出会い、写真を撮り、それを作品にしていきます。しかし、ほのぼのしたドキュメンタリー作品なのかと思いきや、最後はゴダールに会いに行くのですが。うわー!これがアニエス・ヴァルダだ、やられたぜ。となります。自分の「老い」について、こんなふうに描ける人はそうそういないと思います。最後の作品らしく。

蛇足ですが、映画公開の年にたまた旅行でパリのカルティエ財団現代美術館にいったら、アニエス・ヴァルダの講演が前日にあったとことを知りました。惜しい。フランス語だと聞いても判りませんけど、長年のファンなので近くで見てみたかった。内容は、彼女の映画監督としての3つのフェーズについて語るとありました。第1フェーズはヌーヴェルバーグ作家としての時代、第2フェーズは、もう少しメジャーな映画を撮っていた時代、第3のフェーズは2000年以降、自分でカメラを担いでドキュメンタリー作品を作るようになった時代。

あと、いろんなところに「ヌーヴェルヴァーグの祖母」と表記されているけど、あれは勘弁してほしい。「おばあちゃん」としてほしい。
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