りっく

顔たち、ところどころのりっくのレビュー・感想・評価

顔たち、ところどころ(2017年製作の映画)
3.7
出会う人々の顔、村々の表情。そこから無限の人間と世界の多様性が拡がる。もはやヴァルダの映画に虚構の物語は必要ない。カメラを向けた先に、人間と世界の過去と現在と未来が重なり合って映し出される。

また撮影当時87歳のヴァルダは、元気そうに歩くが、足腰は弱り、映画作家にとっての生命ともいえる目も見えにくくなっている。そんな老いと、その先にある死さえも予見しながら、ヴァルダは生きる希望としての映画作りにいわば命を捧げている。その精神の潔さと軽やかさに感動せずにはいられない。
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