風来坊

おみおくりの風来坊のレビュー・感想・評価

おみおくり(2018年製作の映画)
3.0
私も去年に母親を亡くし、女性納棺師の方に旅立ちの支度を丁寧にして頂いた思い出があるので惹かれて観ました。
うーん…なんか人間の終着点の死という重いテーマを扱っている割りには、雰囲気も映像も軽い…。

特に映像はテレビドラマやVシネマみたいな安っぽさと明るさで映画っていう感じが何故かしない。
事故で無残な状態の子どもさんのラストメイク、女性納棺師の腕の凄さを見せるシーンなのに人形のような感じに…そこはもっと綺麗に丁寧に描かないといけないでしょう…。

ヒロインが納棺師を目指すきっかけにもなるキーポイントなのに、この雑な感じは酷すぎる(´・ω・)
ナレーションもちょっと多い…分かりやすくはなっていますが、こういう作品では映像や演技で説明するべきでは…。劇中の気持ちを感じとるのが大事という台詞が浮いてしまう。

主演は長渕剛さん志穂美悦子さんとの娘さんの文音さん。全然、知りませんでしたがお母さん似ですね。結構映画も出演しているようですが、なんかまだこなれていない感じがします。

若手の役者さんやボランティアの方を起用したのか、会話やその間の取り方がぎこちないですね…。
高島礼子さんが出てくると場が締まる。やっぱりこの人はこのメンバーでは別格。

他には加藤雅也さん重盛さと美さん速水けんたろうさんなどの有名どころが友情出演や特別出演で名を連ねる。

あの名作もあるけど誰しもが必ず迎えるものなのに、生きてる時は見てみぬふりの死とその旅立ちの儀式にテーマを当てるのは良い。
軽いけど逆を言えばしんみりし過ぎておらずベタな展開で取っ付きやすいと思います。

病気だけじゃなく自殺とかそれは悲惨なご遺体や遺族の事情もありますよね…。そういうエピソードを逃げずにちゃんと入れたのは好印象。
ロケ地の富山県氷見市の風景も作品を彩っていました。
交通事故のご遺体のおみおくりのシーンは泣けた。人が死ぬというのは悲しい事。

悪くはないのですが、やっぱり軽さがネック…。納棺師云々よりも主人公のトラウマとかの話がメインなのでちょっと思っていたのと違いました。
厳かさが足りずあの名作には及ばないけれど、まあまあといったところの作品でした。
風来坊

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