佐藤克巳

隣の八重ちゃんの佐藤克巳のレビュー・感想・評価

隣の八重ちゃん(1934年製作の映画)
5.0
城戸四郎、島津保次郎監督の築き上げた松竹蒲田調映画の最高峰だろう。日常何気ないエピソードを切り取り、淡々とした風情を醸し出す小市民の平和な日々。東京近郊のサラリーマン家庭の女学生八重ちゃん逢初夢子、その友人高杉早苗にフレデリック・マーチ似と照れる帝大生大日方伝、高校球児の弟磯野秋雄が織りなす青春コメディだが、逢初の姉岡田嘉子が出戻りで一騒動。白眉は、この四人が帝劇に映画を観て、合鴨料理を食し、タクシーで帰宅する迄の姉妹の緊張関係と都心部繁華街の流れる風景に戦前昭和の香り。
佐藤克巳

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