いよら

タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜のいよらのレビュー・感想・評価

4.3
光州事件から続く、韓国の民主化運動に関連する映画を公開順に見ていこうシリーズ(自主開催)の3作目。
光州事件関連ではこの映画が一番有名ですね。実は『五月の青春』というドラマを見る前からこの映画の存在は知っていたんです。でも光州事件については全然知らなかったので、『五月の青春』『光州5・18』と見てきた後で鑑賞することで、この映画の時代背景をしっかり掴むことができたと思うので、このタイミングで見て良かったなぁとは思いました。

この映画の主演はソン・ガンホ。この前に見た民主化運動関連の映画『弁護人』での主演もソン・ガンホであり、最初の登場からのキャラクターもやや近いものがあります。ともに民主化運動をしている大学生を、大学に行ってまで何をしてるんだ、と軽蔑している節があり、本人は民主化運動に興味はない、というスタンスから始まっています。そこから、さまざまな出会い、経験を経て徐々に変わっていく過程がともに素晴らしいですよね。
お金稼ぎが目的だったけど、光州で起きている実際のことを知り、自分の信じていたものが揺らいでいく過程。そして、何が必要なのかと思い直していくっていうところがやはりいいです。引き返す決意をしたところとかは、カッコいいです‼
︎ソンガンホは決してイケメンとは違うけど、哀愁のある役とか、苦悩している役とか、そういうのを体現するのが本当にうまいなぁと思います。自然と引き込まれて、その世界観に浸れるのです。

そして、協力してくれた光州のタクシー運転手さんたちもカッコよかったですね。ラストにカーチェイスシーンがあるとは思いませんでした。
あとはリュジョンヨルがとても良かったです。学生ならではの若さもありつつ、時代に翻弄されている雰囲気、そして歌はとっても面白かったです。



光州事件にやはり何度見ても辛いものではありますね。この作品では事件の渦中にもいますが、それを伝える立場としての事件の見方っていう要素もあり、これまで見た作品とはちょっと違うなとも思いました。そして報道っていうのは、国を動かす力になるっていうのは間違いないですね。真実を伝えることの大切さを実感します。そのために動いた人々がたくさんいたわけですから。だから今日に、こうした記録が残っているんですよね。
いよら

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