寝木裕和

タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜の寝木裕和のレビュー・感想・評価

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韓国の歴史の中で、最も重く暗い事件の一つ『光州事件』を描いた作品。
カーチェイス、緊張感あふれる逃亡シーンなどを織り混ぜ、エンターテイメント性に満ちた物語に仕上げてある。

韓国軍が光州市民に銃を向け、多くの犠牲者を出したという悲惨な事実を、きちんと万人受けする演出で観せられる手腕が光る。

こういった作品を入り口に、世界中の人々がこの事件を知ることになる意味は大きいと思う。

それは2023年現在、世界のどこかで起こっている暴力による弾圧とも繋がっている。

個人的には、冒頭でタクシー運転手役=ソン・ガンホが歌う当時大ヒットしていたであろうチョー・ヨンピルの「おかっぱ頭」や、大学生役=リュ・ジュニョルが大学歌謡祭で披露したいと言って歌い出すサンド・ペブルス「私はどうしたらいい」など、市井の人々の普通の暮らしを描くときに登場する選曲がぐっときた。
寝木裕和

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