サマータイムブルース

タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜のサマータイムブルースのレビュー・感想・評価

3.7
光州事件とは、1980年5月18日から27日にかけて大韓民国(韓国)の全羅南道の道庁所在地だった光州市(現:光州広域市)を中心に起きた市民による軍事政権に対する民主化要求の蜂起である(Wikipediaより)

ジャケ写の雰囲気からソン・ガンホさんがコミカルなタクシー運転手を演じるコメディを想像したけど、ちょっと違ってました

日本在住のドイツ人記者ピーター(トーマス・クレッチマンさん)は、韓国で起こっていることの真実を探るために韓国、ソウル入りします
そこから光州に向かうため、現地でタクシー運転手を雇います
そのタクシードライバーを務めるのがキム・マンソプ(ソン・ガンホさん)
道中、軍による検問を潜り抜け、光州で2人が見た真実とは!!
実話ベースです

1980年、私が呑気に大学生活を送ってた頃、お隣の国韓国ではこんなことが起こってたんですね
韓国でも報道規制され、真実が伝えられたのはピーターが取材した映像が世に出てかららしい
まさに知らぬは罪だなと思いました

ソン・ガンホさんの演技がすごく良かったです
マンソプは初めは金のため、たいした大義もなくピーターをクルマに乗せます
途中検問に引っかかるとすぐ諦めてソウルに引き返そうとするお調子者です
だけど光州に着いて、そこで起こっている真実を目の当たりにし、次第に態度が変わっていきます
真実をピーターに報道してもらうため、命懸けでタクシーを走らせます

現地で知り合ったデモ隊の学生ク・ジェシク(リュ・ジュンヨルさん)が軍に暴行され命を落とすシーンは心が痛みました
軍が発砲しているその先は、敵の軍隊とかではなく、同じ韓国国民の、善良な一般市民たちなのです

軍の司令官役のチェ・グィファさん、コミカルな役もこなし、いろんなとこで見かけるけど、今回は悪役でした
日本だと遠藤憲一さんポストかな、などと勝手に思ってるのですが、どうでしょう

軍とタクシー運転手仲間が、軍用車とタクシーでバトルするシーンはありえねー!!と思って見てたけど、さすがにここは演出だよね

ラストホンモノのピーターが出て来て、あのタクシー運転手にもう一度会いたい、としみじみ語ってるところはジーンとしました

報道の大切さを改めて知りました