メイマーツインズ

鈴木家の嘘のメイマーツインズのレビュー・感想・評価

鈴木家の嘘(2018年製作の映画)
3.5
《嘘も方便。》

実力派キャストで描く、シュールでコミカルな家族物語。
事前情報がなく、タイトルが意味深というだけでWOWOWで初鑑賞だけど、これは思ったより良作…

4人家族の鈴木家。
ある日突然、長男が自殺。発見者の母親は昏睡状態に。目覚めるも長男の自殺の記憶がなく…
父親と長女そして母親の弟は、ショックを与えないように長男の自殺を隠そうと大ががりな嘘をつくことに。

”長男はアルゼンチン…〟

この展開は、母親を守るために周りが一丸となって”良い嘘〟で騙し続ける”グッバイ・レーニン〟みたいだ(笑)
自己保身の”悪い嘘〟ではなく、大事な何かを守るための”良い嘘〟は優しさで観る者を包み込んでくれる。

残された家族の葛藤を、重さを感じさせないコミカルでスマートな演出で描かれているのが秀逸なポイント!後半は少しシリアスになるけど…
岸部一徳、原日出子、岸本加世子、加瀬亮、木竜麻生、大森南朋といった実力派キャストが素晴らしい演技で魅せてくれるけど…
”運命じゃない人〟が脚本が素晴らしいのに演出がイマイチ、役者が作品に馴染んでないとするなら、この作品は逆で、演出と役者の質・演技は申し分ないけど、脚本が…(苦笑)
全体の僅かの割合でしかない名作・傑作といわれる作品は脚本・演出・キャストのすべてにおいてレベルが高いか、すごく突出したものがある。
”運命じゃない人〟や今作”鈴木家の嘘〟にこれ以上求めるのは酷かもしれない…