爆裂BOX

サンズ・オブ・ザ・デッドの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

サンズ・オブ・ザ・デッド(2016年製作の映画)
4.5
ゾンビアポカリプス世界でストリッパーのモリ―は恋人のニックと避難中立ち往生し、、そこに現れた一体のゾンビにニックは喰われてしまう。モリ―は砂漠に逃げだすが、ゾンビは何処までも追ってくる…というストーリー。
これは中々評判のよかったゾンビ映画で、期待以上に楽しめました。ストーリーは終盤までほぼ主人公モリ―一人とゾンビのスモール一匹の追いかけっこですが、灼熱の砂漠で太陽に焼かれ、疲労し、休息するモリ―と、その間も休息を必要としないゾンビのスモールが着実に距離を詰めてくる展開はノロノロロメロゾンビならではですね。ちょっと「ゾンビ大陸アフリカン」を思い出しました。タンポンを使ってスモールを誘導しようとするシーンが面白かったです。途中脱獄犯に襲われたモリ―をスモールが助ける形になってから一人と一匹の関係が変わってくるのが面白いですね。一旦捨てられそうになったスモールが倒れながらもモリ―に手を伸ばす姿は捨てられる犬のようでした。ここでモリ―の言うことを効くようになるのはビックリしましたね。
また、最初はケバイメイクですぐ死にそうなダメダメなビッチだったモリ―がスモールに息子との糸電話の思い出を語るシーンでは母の顔になっているのも良かったです。軍隊に遭遇して普通なら助けを求める所をスモールがいるから逆に隠れる所も面白いです。足を撃たれて暴れるスモールに噛まれた指を石で叩き潰して切断する所は中々痛々しい、というか、あれで感染防げてるのが凄い。
スモールとの別れのシーンで彼に「ありがとう」というモリ―の姿が感慨深いです。彼がいたから砂漠を越えられたし、自分を見つめ直して母親としての自分を取り戻せたんですから。
飛行機に乗らず息子の元へ車で向かうシーンは今迄の自分の軌跡を振り返りながら生まれ変わった自分で元来た道を向かうモリ―の姿が印象的です。
最後の自宅での展開は蛇足な感じはありますが、雄叫びを上げながらスコップでゾンビに向っていくモリ―の姿はカッコイイですね。
ゾンビとの戦いや恐怖よりもゾンビを通して自分を見つめ直していく女性のドラマが強く描かれた作品でした。