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マッチョのpongo007のレビュー・感想・評価

マッチョ(2016年製作の映画)
3.9
 売れっ子のメキシコ人ファッションデザイナー、エバリスト・ヒメネスは、ゲイであることを売りにして支持を広げてきました。センスも服装も物腰もしゃべり方もゲイそのもので、彼のファンたちは「やっぱり、マッチョで粗野な男と違ってゲイは感受性豊かだわね」と賞賛するのでした。

 しかし、エバリストの本性は、バリバリの男根主義者。マチズモの体現者なのでした。プライベートでは、男性に何の興味もなく、女性を追いかけ回します。有名ファッションデザイナーの肩書を悪用し、なんと18週間で322人の女性と肉体関係を持つほどのマッチョっぷりなのでした。

 そんなエバリストの本性が、ドキュメンタリー番組の密着スタッフによって暴かれていき、窮地に。LGBTQの人権団体などは「エバリストは性的マイノリティを利用した!許せない」と猛反発し、不買運動を起こすなど、カオスに陥っていくのでした。どうするエバリスト?って感じの映画でした。

 基本、ドタバタコメディですが、わりかしLGBTQの人々に対する社会の不寛容、差別や偏見についてそれなりに描いています。性的マイノリティに不寛容なカトリック強国メキシコの映画にしては頑張った方だと思いました。

 まあ、なんにしてもLGBTQを差別したり、嫌悪感を持つ人たちには「他人の性的嗜好とか、自分には関係ないんだから放っておいてあげなよ」と言いたいですね。男性が男性を好きで、女性が女性を好きで、どっちも好きで、とか個人の自由ですからね。映画を見終わってそんなことを感じました。悪くない映画です。
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