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あまのがわのlpのレビュー・感想・評価

あまのがわ(2017年製作の映画)
2.0
昨年の東京国際映画祭の特別招待作品に選出されていた今作。映画祭期間中は基本的に特別招待作品を観ないので、劇場公開初日にチェック。

母親との関係が上手くいかない女子高生が、母親の故郷の屋久島で謎のロボットと出会い・・・という話。
惜しくも微妙な映画だった。話の大筋はそんなに悪くない。主演の福地桃子の魅力が光るショットもある。ただ、色々なノイズが積み重なって、トータルでは何とも物足りない作品に感じた。

物足りなさの原因の多くは脚本にあり。
例えば、映画冒頭で主題と大まかな内容を明示する親切設計なのだけど、ここで要素を明示し過ぎた結果、後半に用意されているサプライズの内容まで全てバラしてしまっている。勿体無い。
また、映画前半で主人公の母親への拒絶を決定的なものにする、ある重大な出来事が起こるのだけど、その扱いが映画後半でおざなりに映ることも厳しい。内容的に軽く扱える事象では無いと思ったのだけど。。。
キャラクター描写の弱さも気になるところ。特に母親が記号的な「嫌な奴」に映ることと、主人公が映画冒頭で出会う和太鼓のチーム(主人公がチームに対してやったことも、なかなか酷いのだけど)の描き方には違和感を覚えた。
他にもクライマックスのサスペンスフルなシーンが、突っ込みどころだらけで変な展開になっていたりと、とにかく今作の脚本には細かい粗が多い。

あと、これは脚本ではなく完全に私一個人の感じ方の問題だけど、映画後半の和太鼓を駆使したライブのシーンが、「これは確かに人の心を動かせる」と思える力のある魅力的なシーンに映らなかったことは、割りと大きくマイナスに作用した。「音楽」を扱う映画で、一番のポイントになるシーンに嵌まらなかったのはキツい。逆にこのシーンで嵌まっていれば、今作の評価もガラリと変わった気がする。何とも惜しい。

良いところもありはするけれど、粗も目立つ微妙な映画でした。
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