YAEPIN

悪魔祓い、聖なる儀式のYAEPINのレビュー・感想・評価

悪魔祓い、聖なる儀式(2016年製作の映画)
4.0
シチリア島で悪魔祓いを得意とするカタルド神父と、そこに救いを求める人々を追ったドキュメンタリー。

彼のミサを待つ人が、教会に詰めかける場面から本作は始まる。
他に行く宛てがなく、窮地に立たされていると感じている人が集まるので、待合室は非常に殺伐としている。
みな病状が悪い、何度も訪れている、予約を早くした、といった理由を並べて神父に早く診てもらえるよう嘆願しており、押せや押せやのカオス状態だ。
この待合室にこそ悪魔が巣食っていそうである。

集まる人々はやや体調が悪そうであるものの、到底悪魔が憑いているとは信じ難い。彼らの日常を追う場面でも、『エクソシスト』のように常におどろおどろしい顔で暴れているわけではない。
しかしながら、カタルド神父による「救いのミサ」が始まると四方八方から呻き声が聞こえてくる。
信者に憑いている悪魔がもがき苦しむ声だと思われるが、それはやはり、彼らのキリスト教への信心がそうさせるのであろうか。

ただ、ピアスとタトゥーだらけのイカついお兄さんも教会に通っており、驚いた。彼は特別熱心なキリスト教徒には見えないが、どのようなバックボーン、環境にいようとも、ヨーロッパ圏では多少なり誰にでもキリスト教的精神性が根付いているということなのだと思う。

反対に、キリスト教圏にいない者に、キリスト教の悪魔は憑きうるのか、が非常に気になるところだった。
実際、神父は悪魔の影響下にないと判断した相談者に対しては、ぞんざいと言っていい態度であしらう。

撮影としては、神父に1体1で相談する人の顔をあまり映さないのが特徴的だ。
神父が相談者本人ではなく、彼らを蝕む悪魔と直接対峙しているような描かれ方だと感じた。
YAEPIN

YAEPIN