MasaichiYaguchi

悪魔祓い、聖なる儀式のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

悪魔祓い、聖なる儀式(2016年製作の映画)
3.4
本作のPRチラシには「Vai via satana! 人間vs悪魔ー “エクソシスト”は現代に存在した!」というキャッチコピーが踊っているが、シチリア島の有名なエクソシストであるカタルド神父の日常を映し出したドキュメンタリーからは、現代社会に生きる人々の心の闇が浮き彫りにされる。
エクソシストというと、1973年のウィリアム・フリードキン監督作品が余りにも有名だが、本作では首がグルッと回ったり、緑色の汚物を吐いたり、ポルターガイスト現象が起こったりしない。
その代わりに「サタンに憑依された」という表現が何度も出てくるが、日本的な言い方をすれば「狐憑き」になると思う。
この憑依された人々は一見普通なのだが、カタルド神父がミサを始めると異常な言動を発露する。
それを鎮めていくカタルド神父をはじめとした方々の呪いが如何にもという感じだ。
この呪いに使われているのが、日本でも魔を祓うのに使われている塩で、このようなことは洋の東西を問わないのだと思ってしまう。
それにしてもカタルド神父の日常を見ていると、悪魔祓い以外にも日常の些末な悩み事まで持ち込まれていて、完全に“よろず相談所”と化していて、こんなことまで面倒を見ていたら大変だろうなあと同情してしまう。
本作のラストで紹介されるが、欧米の教会では、カタルド神父の様にエクソシストとして役割を担える神父の需要が急増しているとのこと。
それだけ世の中が複雑化していて、そのことによる科学や医学でも解明、解決出来ない問題や病を抱えた人が増大し、正に「困った時の神頼み」状態になっているのだと思う。