ほしの

悪魔祓い、聖なる儀式のほしののレビュー・感想・評価

悪魔祓い、聖なる儀式(2016年製作の映画)
4.8
自分は一応、なんちゃって無神論者で、一応、合理主義者に寄ってるので、そんな自分には、アウラ・ヒステリカ パリ精神病院の図像集 みたいな感じだった。患者と医師の「共謀」のパターンが、神父と信者の間にも見られるように感じた。

ラカン的な欲望の転移っぽいとも思ったり。「悪魔」という概念が媒介するコミュニケーションの病理とか。
そんなことは置いといても、おもしろシーンがたくさんあって非常に楽しい!
悪魔祓い神父への行列と紛糾とか、テレフォンセックスみたいな電話で行うテレフォンお祓いとか、自分の性欲について悪魔を交えて自己正当化しながら語るおっちゃんとか。高価な絵画とかは教会に寄付しなさいという神父のわかりやすい傲慢さ強欲さとか。雇い主がお金を支払ってくれないと神父に訴える人、その人に対して神父の「粘りなさい」という助言とか。

なんでもお悩み相談所としての悪魔祓い教会。エクソシストの数はどんどん増えているらしい。エクソシストの効能はドラッグみたいだなぁと思いながら、切実に苦しむ人を見ているとだんだん悲しくなってくる映画だった。悪魔のせいにしても神様にツバを吐いても何にもうまくはいかない。でも神様と悪魔しか話を聞いてくれないという事態。
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