せびたん

悪魔祓い、聖なる儀式のせびたんのレビュー・感想・評価

悪魔祓い、聖なる儀式(2016年製作の映画)
4.0
本物のエクソシストのドキュメンタリーでした。

カトリック公認のエクソシストは2016年末現在で世界に404人いるそうです(私の予想は10人くらい。そんなに悪魔とか出てこないだろ、と思って)。

そのうちの半数くらいがイタリアで活動していて、慢性的な人手不足だとか。イタリアにはエクソシストを必要とする土壌があるみたいなんです。エクソシスト養成学校の様子も紹介されてました。

この作品は、そんなイタリアのカトリック公認エクソシストの日常を淡々と追ってました。

悪魔憑き・狼憑きを見れました。私には本物っぽく見えました。しかしこの作品をしばらく見てると、そこはどうでもいいんだなという気持ちになってきました。

聖水ってこうやって作るんだあ、とか、ミサってこんなふうに進むのかとか、悪魔祓いの手順とか、なんかもう普通に楽しかったです。

けどエクソシストの仕事のうちで悪魔祓いはどうもホントに少ないみたいで、実際は何でも相談室みたいな?
『仕事したのに金払ってもらえないんだけどどうしよう?』という相談を受けて『払ってくれなきゃ訴えると言いなさい』とか答えてたり。笑
悪魔憑きの症状が出なくなってからも困ったことが起きると訪ねてくる若者がいたり。

悪魔憑きの症状が出る子供の弱さを責めようとする父親に対して『子供が悪いんじゃない、悪魔が悪いんだ。そしてこれは家族の問題だ。家族の信仰が弱いからサタンが寄ってくる。そして一番弱い子供が標的にされるんだから親は強くなって子供を守りなさい』みたいなことを諭したり。

イタリアでは家族の問題が子供に精神病理的な症状を引き起こすとき、悪魔憑きや狼憑きという症状であらわれることがあるようで、精神科医にかかってもラチがあかなかった家族がくるようでした。
そして悪魔を祓うという形式を通して家族の問題を解決していく者としてエクソシストがいるようでした。
だから憑依してるという設定の悪魔も妙に協力的(悪魔に憑かれていると妄想している本人が治りたいので悪魔も協力的w)で、それがなんかおかしいというかほほえましいというか。そんななので電話を通して悪魔祓いをやることも成り立つみたいでした。ええ、憑依されてる側がお祓いに協力的なんで、とりあえず電話でもできちゃうみたいです。笑

『悪魔のせいだ』という仮定のもとで、家族の誰のせいでもないという赦しのもとで、家族の問題を解決していく感じでした。

エクソシストは神父なのでみんなからパードレ(イタリアなので)と呼ばれているのですが、どっちかというとマードレ(母親)みたいな面倒見のよさでした。
あえて例えるとなんでもよく当たると評判の和尚さんとか占い師さんみたいな。
日本ではそういう方々がエクソシスト的な貢献をしてるのかもしれません。
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