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霊的ボリシェヴィキのeyeのネタバレレビュー・内容・結末

霊的ボリシェヴィキ(2017年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

霊的ボリシェヴィキ (2018)

このタイトルなんぞ?
ってふつう思う。

"ボリシェヴィキ"っていうのは、
レーニン革命党派の名前のこと。
ロシア語で多数派を意味する。

元々オカルト界隈に存在してる概念がロシア思想、社会風潮、宗教要素を混ぜ合わせつつ作られてる。
なので、裏付けるように壁にはレーニンとその後継者スターリンの肖像画が掲げられている。

冒頭にロシア革命歌を一緒に歌うシーンはかなり迫力ある(霊気が散ったとかで、気分を変える目的で突然歌い出すけど…)

この映画で何しようとしてるかは、日本式で例えるなら
"百物語に降霊術を合わせた"
というのがニュアンス的に近い。

何らかの理由であの世と触れ合ったことのある7人の男女が集音マイクを置いて、1人1人に恐怖譚を語ってもらい、霊気の影響が及ばないアナログテープで録音する。

最終的には、あの世をつないで、こっちに来てもらう目的で"会"を開催してる。製作者の言葉を借りるなら最終的に"霊的革命"を起こす目的か。

この映画の何がすごいって、プロットがまずすごい。
霊的ボリシェヴィキって言葉にあるロシア背景を持ってて、且つ登場人物(7人の男女ゲスト)にも名前の由来が別の作品からきてたり、それぞれの恐怖譚や細かい技巧で霊というものを観てる側に感じ取らせる点が秀逸。

例えば、同じトランプのカードが合い続ける"確率異常"、突然日が落ちる"時空の歪み"、みんなが聞こえたはずの声が録音したテープに入ってない、焼却したはずの数珠が戻ってるなどなど。

テープについてはかなり細かくて、「(声が)入ってる」んじゃなくて、「(声が)入ってないけど、みんなが聞いた」っていう逆説手法だから、更に恐怖を煽る。

なので、"人間が一番怖い"とか発言して殴られるシーンはナンセンスで痛快だった。

ボリシェヴィキ思想家のアレクサンドル・ボグダーノフが自身の身体を使って血液交換実験で死んだって部分も作品に大きな影響を与えてる。どのシーンで与えたかは、言わないでも分かるはず。

歴史・思想を踏襲しつつ作られたこの映画はまさに芸術そのもの。
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