むらみさ

ハード・コアのむらみさのレビュー・感想・評価

ハード・コア(2018年製作の映画)
3.8
誰にも触れて欲しくない柔らかい部分が見えたとき、その人のことをもっと知りたくなるとか共感から相手を愛しはじめてしまう、とか。
暴力シーンの後の痛みや哀愁が含む笑える部分であるとか。
精神的描写の微妙な加減と肉体的描写のえげつなさをちゃんと描くことで、その人物をどんどん面白く掘り下げてくれるのが山下敦弘監督の良さで、
どうとも形容できないような有り様を映像化してしまうのが本当に上手いと思う。

原作ファンには申し訳ないが、本作のテーマも内容もまったく知らずとも、山下監督なら見たいし見て良かったと思えた。

(原作未読なのですが)漫画の行間は読者に委ねられるためあるヒトコマを如何様にもクローズアップしたり編集して焼きつけることができる反面映像ではどこをひいていくかで面白さが変わってしまうから酷評もありそうだけど、、
ロボットが出た時点でもうファンタジー、でも役者と美術と監督の編集のちからによって私には現実だった。

右近(山田孝之)と牛山(荒川良々)のように要領よく生きていけない者たちのリアルと左近(佐藤健)の生きている現代人のリアルのズレも共感できたし、追い詰められた時に‘作りごと’を拠りどころにしている自分のような人間にとって、本作はほんと、優しいな〰️〰️と。

ロボおが居てくれたら、救われるのになーとちょっと思ってしまった時点で、もうこのラストシーンを肯定するだけの理由にはなってしまった。

生きづらい者にとって、こういうかたちでのユートピアしか行き着く先はないのだろうか…って考えると哀しくなる想いもするけれど。
このラストもありだよね、という理解も世には必要だなとも思います。
むらみさ

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