YasujiOshiba

カオス・ウォーキングのYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

カオス・ウォーキング(2021年製作の映画)
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アマプラ。23-50。スパイダーマン&ジェダイのレイの競演ね。マルコ・ベルトラミの音楽が格を上げているかな。悪役のプレンティス(父)の依代がマッツ・ミケルセン。このデンマークのもと体操選手がいい味だしてる。

面白いのは、男は考えてることがダダ漏れで、女はそれがでないという設定。思念の外化を超能力のように使えるのだけど、そっちは全面展開させなかった。とはいえ、スパイダーマンのトム・ホランドくんが最後の最後に、殺された女たちの姿を具象化してみせたところに、ジュダイのレイが割って入るシーンは秀逸。生者と死者の共棲って、もしかするとものすごく人間的なことなのかもしれない。

ちょっと残念なのはネイティブ・エイリアン(?)のスパクルズの話が展開しなかったこと。予算がなかったからか、それともパート2に回すつもりか。ホランドくんと戦った相手なんて思わせぶりに片手がなかったし、そこにデイジー・リドリーが、なんだかジェダイのレイみたいに殺さないでと叫ぶところなんて、どう考えても伏線なんだけど、張りっぱなしで終わる。

たしかに、原作『混沌の叫び1 心のナイフ』上・下(金原瑞人, 樋渡正人訳、東京創元社、2012年)は、三部作の第一部。そっちを読んでくれってことかもしれない。ところで原作者のパトリック・ネスって、『怪物はささやく』も書いているのね。そっちも映画化されていて面白かった。まあ、これもあれもビルドゥングロマンだよね。少年の成長物語。そういう意味では、ジェダイのレイ(リドリー)とスパイダーマンのピータ(ホランド)のカップリングって、成長物語にドンピシャなのかも。
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