これ…
ものすごく凶悪な映画だと…
おれは思ったんです…(え?違う?)
アバンタイトル…早朝4時の駅からこの映画は始まります。
始発前の駅は何もかもが眠っている…何も動いてはいない。死んでいるといっていい…
そこに登場する金井浩人演じる駅員の青年…
社会学者の古市氏と神木隆之介君を足して可愛くしたような顔をしているのだが、実は彼も生きていないようなのだ…
同僚と話したり仕事をしている姿…おれも現実に見たことあるけど…なんというか生きていくモチベーションがまったく感じられない若者…
辛そうとか…悩んでいる…といった感じはないのだが、そのままスッと生きるのを止めてしまいそうな感じがする人…
そんな彼が古本屋の本を介して池脇千鶴演じるあかねと出会う…
本当ならワクワクするような出来事の筈なのに、そのきっかけになった本の内容や喫茶店にやって来たあかねのしゃべり方や話の内容!…
さらに凶悪じゃん!
割と肯定的に彼女を捉えているフォロワーの皆さんに比べておれはどんだけヒネクレテルんだと思いますが…
彼女は本当に純粋無垢な天使のような女の子か?「壊れてしまって」そうするしかない女の子かのどちらかですよね?
何もない青空を見上げて「なんて美しい」とか、駅員と知って「いつも見守ってくれてありがとう」とか、本当に心からそう言ってる姿は恐ろしく…もしおれなら「このあと絶対宗教団体に勧誘される!」と思うだろう。
その最たるものがこの映画のタイトルにもなっている「きらきら眼鏡」で…
どんなものでもきらきら輝いて見える心にかける眼鏡って…
なんて…ポジティブシンキングな楽しい女性だろう!と思う前におれは「そんなものがないと生きていけないくらい…壊れてしまった女の子なんだ!」と思うだろう…
そしてこれが凶悪なのは池脇千鶴も監督もそれがわかっている点です!
じゃなかったら彼女をキャスティングするわけない!
そんな彼女を「止まっている」明海に出会わせるんですから!
後半はこのあかねと明海がなぜこうなったのかの謎を解きつつ…さらに身体的ににっちもさっちもいかなくなってる安藤政信が参戦します…
3人が一堂に会し、池脇千鶴が「ふたりが同じ空間にいるなんて…なんか不思議~」とはしゃぐ…
なんて凶悪なんでしょう!
犬童一利監督…
前作の「つむぐもの」もすばらしかったけど…
静かでなんか可笑しくて凶悪な監督です!
きらきら眼鏡なんてふんわりしたものを通して…
「そういうお前は…明日死ぬかもしれない覚悟で今日まで生きてこれた感謝を思いつつ生きているのか?もし亡くしたらきらきら眼鏡がないと生きていけなくなるくらい大切な人を愛せているのか?」
…っておれを追い詰めるんです!
凶悪なやつ…
しかし、素直に感動作と捉えてる人が多い中…ホラーみたいにこの映画見てるおれのほうが凶悪?なのかな?😸💦