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デス・ウィッシュのTEPPEIのレビュー・感想・評価

デス・ウィッシュ(2017年製作の映画)
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申し訳ないが、この作品を全く評価出来ない。イーライ・ロス監督は素晴らしいクリエイターである事を前提に、この映画は「銃社会」を擁護する作品と批判された事に対してこれは家族の物語だからそうではないと彼は否定していた。
銃社会といえばアメリカ…という見方はナンセンスで、むしろ日本のように銃の所持を認めてない国のほうが少ないぐらいである。で、本作の前にアメリカの銃規制はとにかく壁が多い。トランプ大統領のような保守派は全米ライフル協会とのビジネス的なコネクトが強く、大手スーパーでも普通に売られているぐらい銃というものは文化である。ついで僕もアメリカにいた頃や、毎度訪れる度に銃というものを身近に感じていたのも事実である。そしてとどめがこの集団的権利と個人的権利の論争である。

規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるから、人民が武器を保有しまた携帯する権利は、これを侵してはならない ー 合衆国憲法第2条

つまり未然に銃があれば防衛として防げた事件も多くあり、民兵だけでなく、個人の所持も認めているいないの論争である。
本作の場合、強盗により家族を失った医師であるブルース・ウィリス演じるポール・カージーは家族の命を奪った銃という武器で犯罪者たちを裁く、自警者となるわけである。正直このストーリー自体も映画としてつまらないのだが、この銃を購入してインターネットで撃ち方や整備を学ぶシーンをさもクールに、ノリノリな音楽で描いていることが不愉快でしかなかった。
警察が捜査行き詰まっいるから銃を自分で一から学んでぶっ殺してやる〜っプロットもアホらしいし、拳銃を使った自警行為を賞賛するような演出にも怒りを感じる。アメリカでも乱射事件が連日続いていた時期に公開した事が批判されていたが、当然のことだと言える。
この映画は他人事ではない。でも映画自体はリアリティがない。でも銃社会を賛美してる。皮肉のつもりだろうが、人を救う医者がこんなにも人を殺していくとは…。
映画なんだからいいじゃないかで片付けられればそれでいいのだろうが、保守派とリベラル派で蠢く現代のアメリカ政治情勢の変化で、この映画が製作されたこと自体が馬鹿馬鹿しい。酷評されて当然かと。ただただ公開時期を誤ったとしか思えない。
総評として「デス・ウィッシュ」は陳腐な脚本と演出で無駄な時間を過ごす羽目になる映画である。
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