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花筐/HANAGATAMIのevergla00のネタバレレビュー・内容・結末

花筐/HANAGATAMI(2017年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

【物凄いものを観た…】

大戦の影が忍び寄る時代。
馴染んできた西洋文化や働けない病人は非国民か。お国に命を捧げることは真の男の証明なのか。

目的を持たずに燃え続ける太陽のような健康美の鵜飼は、外の世界へ解決策を見い出そうとするタイプ。一方、ニヒルで哲学的、死神のような風貌の吉良は、自己の内面を探り続けるタイプ。吉良の自傷行為は”The Da Vinci Code”のSilasと被りました。鵜飼と吉良は対極に位置する存在ですが、二人とも難題を抱えるためか互いに意識し合い、戦争に生命を「消費」させないという同じ答えに辿り着きます。どうせ尽きる命ならと戦死したおば様の夫や、使える物は何でも「消費」して有効活用しようとする阿蘇とは対照的でした。

ただでさえ面倒でこじれやすい青春に、戦争という破滅的な現実がのしかかり、一層退廃的なカオスに飲み込まれていく様子が鮮烈でした。また、生と死と性を表す赤色が効果的に使われていました。

個人的には”SADA”でやや中途半端に感じた演出や映像が、ついに頂点まで昇華したように感じました。人工的でコラージュのような映像が、どれも大変美しかったです。

肉体的、精神的に戦争へ巻き込まれていく若者達を、怒涛の芸術的感性で描いた傑作だと思いました。


(ちなみに出欠の返事は、少なくともアメリカでは ”here!” です😌)
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