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花筐/HANAGATAMIのkazu1961のレビュー・感想・評価

花筐/HANAGATAMI(2017年製作の映画)
4.0
▪️Title : 「花筐 HANAGATAMI」
Original Title :※※※
▪️Release Date:2017/12/16
▪️Production Country: 日本
🏆Main Awards : ※※※
▪️Appreciation Record :2020-185
▪️My Review
“故大林監督を偲んでシリーズ6”
「映画化するのは終生の夢だった」。。。ビジュアリストである巨匠、大林監督が余命宣告を受けた中作り上げた執念の作品は、凄まじい映像美の集合体でした。
とにかく全てのカット、全てのカットに加工が入り、凄まじい映像美がこれでもかというくらいに押し寄せてきます。大林監督ならではの真骨頂ですね。
『この空の花』『野のなななのか』に続く本作は、余命宣告を受けながら完成させた大林宣彦的 “戦争三部作”の締めを飾る魂の集大成です。全2作そどはアバンギャルドではなく、物語の体はなしていますが、それでもやはり台詞の応酬、作劇調の台詞回しなど前2作を踏襲している部分もあります。メッセージ性も“戦争の虚しさを伝えること”“生と死”について前2作同様のテーマを訴えかけてきます。ただ前2作ほどの強烈なゴリ押しのメッセージの伝え方ではなくなっていましたね。。。そう、主人公の同級生たちは雄弁に語りはしますが、明確な意思表示や誰かを強く導くものではありませんでした。
自分の命さえ自由にならない太平洋戦争勃発前夜を生きる若者たちを主軸に、心が火傷するような凄まじき青春群像劇を、圧倒的な映像力で描いています。原作は三島由紀夫がこの一冊を読み小説家を志したという檀一雄の純文学「花筐」。
さらにユネスコの無形文化遺産にも登録された佐賀県唐津神社の秋の例大祭“唐津くんち”が映画に全面協力し、色とりどりの数多くの曳山の登場もあって映像はさらに神々しいものになったてあますね。
本作、大林監督が1977年の『HOUSE ハウス』より以前に書き上げていた脚本を映画化した作品で、大林監督が余命残りわずかと宣告を受けた直後の2016年8月にクランクインしたのもありメッセージの伝え方が前2作とは変化してきたのかもしれません。
ただ、作品全体の戦争が泥沼化していく日本と世界の空気、そして大林監督が当時を表現する“戦争によって消耗される青春”のムードはひたひたと伝わってくるやはり凄い作品です。
物語は。。。
1941年の春、アムステルダムに住む両親の元を離れ、佐賀県唐津に暮らす叔母(常盤貴子)の元に身を寄せることになった17歳の榊山俊彦(窪塚俊介)の新学期は、アポロ神のように雄々しい鵜飼(満島真之介)、虚無僧のような吉良(長塚圭史)、お調子者の阿蘇(柄本時生)ら学友を得て“勇気を試す冒険”に興じる日々。肺病を患う従妹の美那(矢作穂香)に恋心を抱きながらも、女友達のあきね(山崎紘菜)や千歳(門脇麦)と“不良”なる青春を謳歌しています。しかし、我が「生」を自分の意志で生きようとする彼らの純粋で自由な荒ぶる青春のときは儚く、いつしか戦争の渦に飲み込まれていきます。「殺されないぞ、戦争なんかに!」・・・俊彦はひとり、仲間たちの間を浮き草のように漂いながら、自らの魂に火をつけようとしますが。。。

▪️Overview
名匠・大林宣彦監督が、1977年のデビュー作「HOUSE ハウス」より以前に書き上げていた幻の脚本を映画化し、「この空の花」「野のなななのか」に続く戦争3部作の最終章として撮り上げた青春群像劇。檀一雄の純文学「花筐」を原作に、戦争の足音が迫る時代を懸命に生きる若者たちの友情や恋を赤裸々に描き出す。1941年、春。佐賀県唐津市の叔母のもとに身を寄せている17歳の俊彦は、アポロ神のような鵜飼、虚無僧のような吉良、お調子者の阿蘇ら個性豊かな学友たちと共に「勇気を試す冒険」に興じる日々を送っていた。肺病を患う従妹・美那に思いを寄せる俊彦だったが、その一方で女友達のあきねや千歳と青春を謳歌している。そんな彼らの日常は、いつしか恐ろしい戦争の渦に飲み込まれていき……。大林監督作の常連俳優・窪塚俊介が俊彦役で主演を務め、俊彦が憧れを抱く美少年・鵜飼役を「無限の住人」の満島真之介、ヒロイン・美那役を「江ノ島プリズム」の矢作穂香がそれぞれ演じる。(引用:相方.com)

第91回キネマ旬報ベストテンの日本映画2位に選ばれ、第72回毎日映画コンクールの日本映画大賞を受賞。出演は、窪塚俊介、矢作穂香、常盤貴子、満島真之介、長塚圭史、山崎紘菜、柄本時生、門脇麦など。
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