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カランコエの花のマチのレビュー・感想・評価

カランコエの花(2016年製作の映画)
3.8
社会の座標軸に縛られずに、すべての人が一個人として認められるには、誰が、何を、どうしたらいいのだろうか。

おそらくこのような問題に、最も適しているのは政治よりも文化かもしれない。フィクションの力かもしれない。

劇中の教師たち同様、トップダウンではいけない気がする。

『カランコエの花』のような作品を提示する人たちの想いと、揺さぶられた観客の想いがつながって広げていくしかないのだと思う。

すべての動物は生物学上、種の保存をしなければいけないことは確かではある。
ただし人間は、特に人間だけはそのこととは別に、自分と違う生き方や感じ方、考え方を受け入れられる力を持っている。
そこがほかの動物との違いであるはずだ。


強くあろう、と書いた言葉を一番知って欲しい人に消されてしまう悲しみ。
シュシュを外す仕草で分かる後悔の気持ち。
説教臭くならず、説明過多にならない。
「演出とセリフの省略」が手堅い、見応えある作品である。
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