たくみ

カランコエの花のたくみのレビュー・感想・評価

カランコエの花(2016年製作の映画)
3.5
『少女は卒業しない』がとても好きだったので、中川駿監督の過去作である本作を鑑賞。

現在はLGBTQと呼ぶことが多いですが、まだLGBTと言われてた時代の作品。
そういう意味では、かなり急速に世の中の考え方もアップデートされているのだなと痛感しました。

大人ですら向き合い方について悩む問題に高校生が直面するともっと難しく感じると思います。

主人公の月ちゃんも自分なりに考えた上での行動だったのに、その守りたいが故の行動がその人を傷つけてしまう。
恐らく桜の事が好きである笠松将演じる荒木は、自分の好きな人がLGBTだとわかった瞬間に彼なりに守ろうとしている。
これは優しさであり傲慢さでもあるように感じました。

打ち明けた側、周りから思った反応が返ってこなくて苦しくなる。
打ち明けた後のバスのシーン、カメラが揺れていたのはワザとだと思っています。
不安定な桜の心情をバスの揺れと重ねて写しているのだと思います。

正解なんてない問題に対して正解を出そうとしてしまうのも高校生の青さ故のように感じました。
中川監督はやっぱり“若さ故の青さ”を描くのがお上手だなと感じました。

監督が「当事者でもない自分がLGBTをテーマとした作品を撮ってもいいものか」と友人に相談したら、「その考え方がそもそも差別だよ」と言われたそうです。
これがこの映画の真理のような気がしてます。

この映画を10年後に若い世代が観て「価値観が古くてリアリティがない」と言われるような世の中になっていて欲しい。

【その他メモ・独り言】
・カランコエの花言葉:あなたを守る
・先生たちの配慮が足りてないのが一番の問題。
たくみ

たくみ