寝木裕和

カランコエの花の寝木裕和のレビュー・感想・評価

カランコエの花(2016年製作の映画)
-
『怪物』を観たのなら、この作品は観た?… と友人に薦められ、鑑賞。

こちらは『怪物』よりももっと性的マイノリティの問題に重きをおいた物語。

しかし、LGBTQ に関する映画を撮りたいのに撮ってしまうことで誰かを傷つけそう…と躊躇する中川駿監督自身に、とある友人が「その考え方こそ差別」と指摘したのだそうで、そのあたりの微妙な葛藤なども、この作品に巧く織り込まれている。

脆くて繊細な思春期に、どうしたらこんな時、傷つけないように側にいてあげられるのか… と懊悩する姿に、なんとも言えない切なさをおぼえる。

声高になにが良くてなにが悪いかと問うような映し方ではなく、淡々と穏やかにそれぞれの心の揺らぎを描いているということに、とても好感が持てた。
そのことによって、いろんなことを考えられるだけの余白があったから。
寝木裕和

寝木裕和