まりぃくりすてぃ

ブルー・バタフライのまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

ブルー・バタフライ(2014年製作の映画)
4.8
まともな人たちが本気で物づくりしたらザクッと凄味に届く。その好例。少なくともシナリオと演技(全員の)は、私に唾を簡単にはゴックンさせないキツイ素晴らしい時間帯をたくさんくれた。いい意味で、しょっちゅう緊迫してた。
技術的にどうこうっていうのはないけど、印象は端麗鮮明で、まるでカラーみたいな白黒映画。白黒みたいなカラー場面が3%ぐらいは交ざる。カラーらしいカラー場面もごく稀にあった。

じつは最初、尖りアゴで鼻がでかい三日月顔の主演派手女優(ヤズ役)への引っ掛かり(個人的理由から、警戒心とか)が少しあった私。
でも、路上での女子三人(ヤズと金髪おかっぱファティマと黒人)の悶着シーンで、作品への不信感は解消。一対一を引き締めるのは簡単だろうけど、キビキビした三つ巴っていうのはセンス良くなきゃ撮りきれないと思うから。各演技全然下手じゃないし。

マニー義兄ちゃん、いい人。寝床での兄妹の和気が、後半まで効いてる。マニー役イヴァン・カミロの叙情味が作品全体に効いてる!
そんな義兄に妹ヤズがあそこまでヤッチャウまでが、ちょっとだけ拙速。シナリオが完璧じゃないとしたらここに課題。動機づけを積み増すべきというか、もうあと二、三の必然性の襞(ひだ)を折り込んでくれないとね。
それでも、ラスト近くの兄妹の短会話は珠玉! その後の最ラストはもうちょっとコッテリさせてもいいかも。蝶のあの青色はあんまり好きじゃない。



ところで、なぜヤズ役のトレイシー・ペレスを私が警戒したかっていうと、小6から高卒頃まで親友だった元クラスメートの某美にとても似てるから。某美の方がトレイシーより一段綺麗だった。明るくて笑い上戸で八方美人で男子とも気兼ねなく自信たっぷりに喋れて友達がすごく多い子だった。(私はお茶目で笑わせ屋だけど奥手で浮き沈みが激しくてひたすら情の深いタイプだった。)
某美とは、特に小6から中1にかけて、二人だけで映画ごっこをした。某美がゾンビとか悪魔とか悪人S系の役、私がちょうど今回のファティマみたく半端善人M系の絶叫逃げ泣き役で、共作したオリジナル物語を毎日毎日演じて遊んでた。時々SとMを役交代した。チラシ・ポスター・パンフ・鑑賞券とかも手作りして本当に楽しかった。脇役の子をあと二、三人引き連れて、夏休み中も映画活動日を設けて灼熱下の公園に集まりまでした。
当時、あんまり私と某美ばかりが仲良いために周りから「あの二人は百合?」とか噂された。
華麗な某美とはその後、三角関係・四角関係・ダビデの星的ダブル三角関係とかもうドロドロのモツレと嫉妬と喧嘩と絶交と仲直りを繰り返してお互いうんざりし合いながら“親友”を続けたが、19歳の時に彼女が突然アメリカへ消えてしまって、その後彼女から私への(なぜか)長い説教の手紙が一通来て、それきりつきあいが完全に切れた。(ご近所だから親同士はその後もずっと親しくしてたみたいだけど。)
思春期を通じて最も影響を受けたと思うぐらい大切な友だったのに、切れてしまって以後は、恋を邪魔されたとかドロドロ関係が一番思い出されてしまう。もうあれから幾星霜……なのに。人間って悲しい生き物だと思う。
いつもいつも彼女は私以上に派手で楽しそうで小6時点で恋愛三回ぐらい済ませている子だったけど、家庭的には(一家崩壊的に)恵まれてなかった。私の方は、両親や兄から甘やかされて甘えんぼに育った。
…………そういうわけで、この『ブルーバタフライ』は、あの某美を醜くしたような女優さんが主演なので、気になって気になって、それと普通に期待もして観ちゃったわけなのだ。だらだらと変なことを書いた。
某美、元気でやってる?