ベルサイユ製麺

ブルー・バタフライのベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

ブルー・バタフライ(2014年製作の映画)
-
…子供の頃に何かの本で読んで印象に残っている話。
世界一の美しさと讃えられるモルフォ蝶の青く輝く翅。研究者その色素を抽出しようとしたが、実際の翅からは黒く濁った色しか取り出せなかった。実際はモルフォ蝶の翅自体が青いわけでは無く、鱗粉の構造が光の中の青色の波長だけを反射する為に青く見えているだけだったという訳です。いわゆる構造色というヤツですね。
光の ・有る要素 ・だけを反射 ・して“しまう”。

…蝶に限らず、変態をする昆虫は蛹になった時点で一旦グズグズのスープの様な状態になります。蛹は言わば鋳型の様なもので、その中にスープを行き渡らせ、成虫の形に変換されます。となると、果たして幼虫期の記憶には意味は無いのでしょうか?
恐らく、彼らにとって個別の記憶に意味は無く、ただ種全体の歴史の中で育まれた生き残る為の機能性だけが重要なのでしょう。
蝶の美しさは理にも適っている。でも見つめてると不思議と悲しくもなってしまうのです。

…学生の頃の先輩に蝶が苦手な人が居ました。美しくてしっかりしてて、頭の良い人でしたが、蝶を見つけると逃げ出すのはまだしも、ハンカチに蝶の絵が書いてあるだけで摘んで放り投げてしまう。恐れとは結局全て自分の内側から来るのでしょうね。しかし蝶のイメージに含まれる、ある種の淫靡さはいったい何処から?全く謂れのない、単なる美しさに対するやっかみの様なものだとしたら、結局怖いのは人間のネガティブな想像力なのだと言わざるを得ない、ですかね?
あ、先輩、お元気でやってらっしゃいますか?もう、顔も名前も思い出せませんが。

…職場の前の上司に、個人的に蝶の研究をしてる方がいました。一回り以上歳上で、にこやかなおじさまです。休日になると車を飛ばし山に分け入り個体の採集や分布のデータ収集。仲間と研究会を開いたり、自費出版で研究成果を本に纏めたりされてました。仕事の休憩時間には網を持って土手に出かけます。幼虫を捕まえてきて時は女性スタッフがきゃあきゃあ言ってました…。
今は別の職場に移動されているので交流は無くなってしまいました。何処に行っても同じように網を持って草むらを掻き分けていらっしゃるのかな?自然を相手にした趣味は本当に羨ましいです。…しかし、何故“蝶”だったのか?蝶の何に魅入られたのか?
周期的に別の蝶に変わるその方のLINEアイコンは、まるでその方の自体が蝶であるかのように思える事も有ります。まるで風景も、空気の流れも、1日の長さも、全てが違って感じられているような…。

……ところで私のiTunesの約12000曲の中に、“蝶”がタイトルに含まれる曲は有ったろうか?と検索してみると『蝶番』と『蝶番をこじあけろ』の2曲がヒット。“バタフライ”だと3曲、“butterfly ”でも3曲がヒットしました。だからなんだということは無いのですが、皆様もお試しになると、「ふうん…」て気分になれますよ。ふうん…。