うめまつ

マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年のうめまつのレビュー・感想・評価

3.0
構成や演出に目新しさのないあまりに普通のドキュメンタリーでがっかり。実際に彼の仕事や人柄は素晴らしいのだろうけど、それを実感させる前に矢継ぎ早に繰り出される関係者のインタビューが、全員見事に褒め殺しでちょっと上滑りしてた。

彼の作る靴は他とどう違うのか、何故世界中の女性が虜になるのか、あの美しさと履き心地をどのように融合してるのか、などがこの映画を観ただけではあまり伝わって来ない。靴の裏にサインしたり、本の出版イベントに出てる広告的なとこじゃなくて、普段どのようなことからインスピレーションを受けてるとか、あのヒールに行き着いた過程とか、仕立てのこだわりをもっと見たかったなぁ。シューズクローゼットにマノロブラニクがずらーっと並んでるような、リアルSATCな人達向けのマノロ最高!ムービーだった。

とは言え短いながらも工房の様子はとても興味深かったし、未だにサンプルは自分の手で作ってるとか凄すぎる。是非ともその一部始終が見たかったよ。芸術家でありながら芯の部分は職人気質である事にも好感が持てたし、「一番自分の靴を履きこなして居る人は誰か」の答えも素敵だった。いずれ来たる自分への還暦祝いはマノロの赤い靴にしようかな。『シンデレラ』も『オズの魔法使い』も『赤い靴』も、靴に囚われ靴に導かれる物語が昔から乙女心を掴んで離さないのは何故なんだろう。靴は不自由と自由の象徴なのかな。
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