今まで観た藤井監督作品の中で、一番ズシンと来た作品。
大企業の不正の告発で死に追いやられた父を持つ主人公は、父の汚名を晴らすため、そして身寄りのない子たちを助けるため、犯罪でお金を稼ぐ。
崇高な目的のためだったら何をやってもいいのか?と、観ている側は疑問に思う。
だけど、大企業側の不正を行ってきた彼らは悪びれもせず、恵まれた日常生活を送っていて、主人公の父の死を何とも思っていない。
そしてこれからも、強い立場に胡坐をかきながら、のうのうと生きていく。
理不尽極まりないけど、この牙城はなかなか崩せない。それが悲しいけれど今の現実。
この物語の唯一の光が、児童養護施設の高校生の少女。
清原果耶ちゃん演じる彼女の人生も、決して容易な人生ではないけれど、多くの人が彼女の未来を応援している。それがきっと救い。
主人公とその周りの人達にあったものと、大企業側の人間たちになかったもの。
それがこの映画の答えなんだと思う。
けれど、画面に映し出される現実は、あまりにも厳しい。
藤井監督、画作りの才能がありすぎる。
ラストシーンの美しさ、力強さもすごい。
だからこそラストちょっと前で、セリフで映画のテーマを話す場面は違和感があったけど、あれはわざとなのかな?
それと清原果耶ちゃん。
透明感とかそんな簡単な言葉で終わらせられない圧倒的な何か、存在感。ビックリしてしまった。