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デイアンドナイトのtechnoのレビュー・感想・評価

デイアンドナイト(2019年製作の映画)
3.4
■人間の裏表、善悪を丁寧に描いた社会派の映画です。

■海岸線に建つ白い巨大な風力発電のプロペラの群れに東京ではない地方都市を舞台とした映画であることを感じ、不穏な印象も受けます。
自ら命を絶った父の死の真相を追う息子(東京からの出戻り)が、生前の父の表と裏の顔を知る過程で自らも父の裏の部分に絡み取られ染まり、かつ表の顔も取り戻し再生していく物語です。後ろ暗い夜の一面を持った者が順調に世の中を渡って行けるのか、当然のようにカタストロフィーが待ち受けています。

■自分ならどう生きるか、地方都市出身者には「身につまされ」、考えさせられます。観賞後の心象を大事にしたいので(過去に「黒い家」のエンディングに違和感)、エンディングロールは静かなインストルメンタルを期待していたのですが、どこかで耳にしたことがある曲調ではありますが、エンディング曲は映画の魅力を高めていると感じます(また、聴きたい。)。試写会場から退場した後も心の中でリフレインされていました。

■軽いギャグで構成された俳優プロディース作品ではなく、企業と地元経済の現実を重厚に描いた作品だと思います。「時代屋の女房」「BeRLiN」「凶悪」「悪人」「野生の証明」「中島哲也監督作品」が類型として思い浮かびます。

■見た目は千昌夫的で、江守徹を彷彿とさせる田中哲司の怪演、他の映画の演技も見てみたいと感じました。

■息子が地元企業に対して行う行為はスマホ等を使用した別の方法もあったのではと感じます。

【tag】希望の国のエクソダス/風力発電
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