二ヶ月も前の鑑賞で、書きかけでしたが、放置するのが気持ち悪いのでアップします。
回しても回してもどこにも辿り着かない。
善と悪の昼夜は、風車や車を回すが、幸不幸の繰り返しが続くだけだった。
シネマスコープの横長の画角を窓が狭める。
ガラス越しで私たちの視線を遮る演出は、半面すら知り得ることのできない、人々のコミュニケーションの表象だろうか。
私たちは大切な人ですら、その半分も理解していない。
顔を合わせる昼の姿はまだしも、夜の姿など知るよしもない。
一人一人の正義が、善を目指すための悪を生み出す。
本作は、正しさに苦しめられ自殺した父の無念を晴らすため、悪事に手を染めていく主人公の日々が描かれる。
孤児院の運営のため、悪事に手を染めていく彼らを間違っていると言い切ることが出来る人はいるのだろうか。
昼間見せる善の裏に隠された悪。
大小異なれど、私たちは正しさのために間違いを良しとする。
復讐の連鎖と言えば簡単に飲み込めるが、現実はそう割り切れないものであることを感じさせてくれる作品であった。