ワルキューリ

スターリンの葬送狂騒曲のワルキューリのレビュー・感想・評価

スターリンの葬送狂騒曲(2017年製作の映画)
4.2
第二次大戦でソ連を勝利に導いた英雄、そして恐怖政治で民衆や政敵を弾圧した暴君…スターリンの評価はロシア国内でも大きく分かれている、というより両方の間を漂っているらしい。
日本で言えば織田信長みたいなもんなのかな?(たぶん違う)

その良くも悪くも偉大なスターリンが突然死を迎えたことから始まる跡目争いのドタバタを政治目線の喜劇、そしてどうにもならない権力に振り回される民衆の悲劇を容赦なく映す。

メインキャストはフルシチョフにスティーブ・ブシェミ、スターリン時代の粛清の実行者であったNKVDトップのベリヤにサイモンラッセルビール。
スターリン存命〜死亡までの自分の思い通りにならないもどかしさ、死んでからのハジけっぷりを遺憾なく発揮してくれてかなり笑える、ハズが政治の駒としてしか見られない民衆の姿が痛々しすぎてそんなものは途中からどこかへ行ってしまった。
密告で引き裂かれる父子、葬儀へ向かう民衆の末路など、これらもほぼ事実とのこと。

細かい点では現実とは異なるようで、あくまで事実を元にしたフィクションでもあるし、「スターリニズムとは何か」を追求するという崇高な使命は無いが、それでもロシアや周辺国では上映禁止になったそうな。
こんなふざけた(褒め言葉)映画を見られるって今の日本は平和なのか…な?