Jimmy

馬を放つのJimmyのレビュー・感想・評価

馬を放つ(2017年製作の映画)
3.5
たぶん初めて観たキルギス映画。
キルギスという中央アジアの良く知らない国の物語から伝わって来る異国情緒が心地良く、けっこう楽しく観ることができた。
「馬は人間の翼である」というキルギスのことわざが冒頭表記され、そのことわざに沿ったような物語が描かれていた。

ある晩、馬小屋から1頭の馬を盗んで乗る男。この男、口がきけない妻と5歳の息子と一緒に暮らしている。幼い息子は父親としか接することなく、やはり口をきかない。
この男、道端で売っている「マキシム」なる飲み物をツケで飲んだりしている。このマキシムという飲み物は、大麦の粉などを発酵させた飲み物らしい。男は、マキシムを売る女性と雰囲気良くて、飲み代のツケを女性の家まで返しに行けば「男と女はデキている」などと噂がたってしまう狭い村。
そんな折、競走馬を盗むやつを捕まえようとする男達が「ある男が競走馬を買ったという噂を流せば、本当の馬泥棒がやって来るのではないか…」という罠を仕掛けたところ……
といったテンポ良く物語が展開する。

主人公の男が元映写技師であり、古い映画館に入って、馬の走るフィルムを映写するシーンでは、男がいかにも嬉しそうな顔する場面がナイス。

キルギスの馬にまつわる伝説に基づきながら、普遍的でもある人間ドラマを描いた映画であり、なかなかの佳作だったと思う。
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