チッコーネ

ゴッド・セイブ・アス マドリード連続老女強姦殺人事件のチッコーネのレビュー・感想・評価

3.0
「老女連続レイプ殺人」という設定はユニークだが、中盤までは事件を追うバディ関係な刑事ふたりの性格描写が、メイン。
韓国サスペンスをよく観ていると、警察権力の腐敗描写には慣れてしまうが、お国が違えば特徴も異なるもの。
本作の場合、やる気や志に欠けるスペイン警察を、揶揄する描写が多い。
またふたりのうち一人は暴走を抑えられない癇癪持ちで、事あるごとに「このオカマ野郎」を連発する男根主義者…、実の娘に性的虐待を働くのではと、ヒヤヒヤさせられた。
もうひとりは吃音持ち(アルモドバル映画でコメディ演技を披露していたりもするアントニオ・デ・ラ・トレ)という設定なのだが、その原因と犯人のトラウマに類似点があると匂わせつつ、決定的描写は控える作風、カタルシスに欠ける。
タイトルからして背景にキリスト教ありきなのも明らかなのだが…、本国の観衆を鑑み、皆まで言わずとも暗黙の共感が得られる、と踏んでいるのだろうか。
「瘦せ面で巨根」という犯人の設定もユニークだが、決定的犯行場面でわざわざ上下を反転させ、彼の尖った顎を真俯瞰で強調した撮影には、ゾッとさせられた。
また彼が3階の窓から飛び降りる場面の画面加工は極めて自然、よもや実写ではと思わせる。