すがり

殺人者の記憶法のすがりのレビュー・感想・評価

殺人者の記憶法(2017年製作の映画)
4.4
韓国映画はサスペンスが強くて人気と聞いてはいたけど、すごく良いのがありますね。

wowowで二作一挙やっていたので観てみました。
どうしてもね、こういう設定であればメメントを思い出してしまうのはあの映画が強すぎるから仕方ない。
ただ今作はあちらが脚本上の構成を緻密かつ大胆に弄り倒したのに対して、脚本よりも設定に対して大きくアプローチした結果であるように感じる。

脳の異常による記憶の欠落という点における叙述トリック的な驚きは少ないものの、存分にそのシステムを発揮してくれて、知らず知らずに感情移入して行ってしまう。

こうしたサスペンスとして一線級の仕上がりを見せているものの、そこに付随する家族としてのテーマも、ただ付与しただけであるとか言った蛇足の向きを感じさせない。
時折入る息抜きも記憶の異常を演出する手段としてテンポを損なわない程度のもので、思わずほっこりしてしまう。

殺人者だからこその記憶方法という重要な内容も全編通して表現し、その軸をぶらさず出し切った点でも切ないながら充足感がある。
こういう雰囲気は大いに好みだ。



ところで、韓国語でいう殺人者って漢字読みで最後の音は濁ってサリンジャになるんだね。
映画とは全然関係ないのだけどJ.D.サリンジャーとか、サリンジャーさんたちは韓国旅行に行きたい時はどうしたら良いのだろうね…入国審査とかさ……。
すがり

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