福福吉吉

模倣霊の福福吉吉のレビュー・感想・評価

模倣霊(2017年製作の映画)
3.0
ブロック塀で封鎖された萇山洞窟をある男がブロック塀を破壊し、その男が殺した女性と犬を放り込み、ブロック塀で封鎖する。しかし、その穴の中から殺したはずの女性の声が聞こえてくるのであった。
その後、萇山洞窟の近くに引っ越してきたヒヨン(ヨム・ジョンア)だったが、夫のミノとともに洞窟で女性が亡くなる場面に遭遇したため、警察を呼んだ。その警察の調査の間、ヒヨンは見知らぬ少女を見つけるが、すぐに居なくなってしまう。その夜、ヒヨンの家にその少女が再び現れ、自宅に招き入れるのだが...。

オカルトホラー作品であり、残酷な描写はあまり無いため、とても観やすい構成になっています。

主人公のヒヨンは、過去に息子のジュンソが行方不明になっており、また、行方不明になった際、一緒にいた義母が認知症を患っていて、精神的に不安定であるという、重い設定があるので、ヒヨンの行動の一つ一つに悲壮感があって、観ていて非常に辛い。

萇山洞窟で見つけた少女が、ヒヨンの家に居るようになってから、家族の声にそっくりな声で話しかけて、ヒヨンたちを混乱させたり、また、ヒヨンたちの視力がどんどん悪化していくのですが、どうにも怖さが伝わってこない。しかし、視力が悪化するのでそっくりの声で話しかけられて、本物かどうか分からなくなる点がラストに繋がってくる展開は良かったと思います。
鏡を介して得体の知れないものが写る演出はなかなか怖かったと思います。

そして、唐突に出てくる長山洞窟の過去に詳しいお婆さんも、結局、観ている側に恐怖の元凶の説明をして終わるという、とてもメタ的な役割で終わっており、解決方法など一切無く「去れ!」というだけなのはどうかと思いました。

あまりにヒヨンに重いものを背負わせ過ぎているため、怖さより苦しさがメインになっているのがきつかったです。
それでも主人公家族の演技は良く、作品全体として普通に良かったと思います。
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