わたふぁ

インサエイ: 私たちの内なる海のわたふぁのレビュー・感想・評価

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マインドフルネス…瞑想とは、自分の内なる声に耳を傾けたり、精神を安定させたり、呼吸を整えたりするヨガの一環で、「無」の境地が集中力を高めるらしい、ということは知っていた。
私はやったことがないけど、大好きなスタンダップコメディアン、ジェリー・サインフェルドが長年やっているので、なんか漠然と“良いもの”という認識はあった。

このドキュメンタリー曰く、脳の2%(大さじ2杯分)は言葉を持っているが、残りの98%は言葉のないところで思考しているのだという。つまり98%部分は、思考して理解を深めて使いこなせる部分ではなく、言葉のない「直感」の世界になる。その“直感する力”は古来の人間に長けていた能力であり、瞑想することによって現代人も取り戻せるはず、というお話。

MAXでも2%にしか満たないのに、みんなが頭でっかちになりすぎている現代人。⚫︎⚫︎時間働いて⚫︎⚫︎円のお金を稼いで、そのうちに日が暮れて夜になり疲れて寝て、朝になったらまた働きに出るという毎日が、人生の目的として成立し得るのか、と問われると返答に困る。

そんなことよりもっとやるべきことがあるという。それは「自然」から思考回路を学ぶこと。言葉を持たない「自然」にこそ「直感」が冴え渡っているという話はとても面白かった。
木も水も土も石も苔も、お互いに長く生存するための「調和」の仕方を知っているから、今地球は成り立っているのだという考え方がおもしろい。自然界の生きとし生ける物が何も考えていなかったら、数時間の間で異常に木がボーボーに生えたり、海水で地球がタプタプになったり、キノコで街が覆い尽くされたり、アリの群れがケーキ屋さんを襲撃したり、地球が半分に割れたりしたって不思議ではない。
空気が読めていないのは、ここ数十年で70億人にまで人口を増やした人類だけのような気がしてくる。

マイドフルネス。騒がしく忙しく過ぎていく人間生活のなかで、一日に数分でも自分のオリジナルの時間を持つこと。
たいそう立派な大志を抱かずとも、自分の足元には太くて長い「根」があることを知り、深く広がる“未知”を探検するだけの強さを元々持ち合わせているのだと知ることが、まず最初の一歩なのかなと思う。