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被ばく牛と生きるのlgKaoringのレビュー・感想・評価

被ばく牛と生きる(2017年製作の映画)
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私は高知県の小さな町の出身だ。
その小さな町に、かつて原発が作られようとしていた。
町は賛成派と反対派に分裂し、小さな町を二分した。
その後、賛成派の町長への反対署名が集められ、日本で初めてリコールが成立した。
だから福島の件は、他人事とは思えなかった。

なのに、震災から何年か経ち、私は福島の震災の事を忘れかけていた。
少なくとも今の現状を分かっていなかった。

福島の震災後、被爆したペットは区域外に出る事を許された。
なのに牛は全て殺処分しろと。
命はみな同じなはずなのにと、それに抵抗する一部の牧場主たち。

被ばく牛を科学的に研究する大学合同チームも動き出すのだが、世界初であり人類に有益なはずの研究に国は協力しない。
原発事故の証拠を隠滅したいと言わんばかりに。

のら牛を集め、国からの援助もなく自腹でエサを与え続けている人もいる。
その吉沢さん、渋谷でマイク1つで福島の現状を呼びかける。
だけどその叫びに人々は見向きもしない。
関係ないと言わんばかりに。

「オリンピックなんか俺たちには関係ない!福島は国に捨てられたんだ!」
吉沢さんの魂の叫びに頭を抱えた。
直視出来なかった。
被ばく牛だけではない問題がそこにはある。

この映画にはスコアは付けられない。
言葉がない。

Filmarksの皆さん、どうかこの映画を観れる機会があれば観てください。
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