ゆうた

ザ・シークレットマンのゆうたのレビュー・感想・評価

ザ・シークレットマン(2017年製作の映画)
2.0
うーむ…。
なんというか、つまらないわけじゃないんだけど、見終わって面白かったというほどでもなかった。
正直な話、ポリティカルサスペンス的なものだと思って見ただけに、内容の地味さにあっけにとられた感じもします。
原題の「マークフェルト ホワイトハウスを崩壊させた男」が示すように、これはそういう大きな政治劇ではなく、マークフェルト個人に焦点を当てた物語なのは理解できますが、しかし、同じくFBI伝記映画であり、本作が彼の死をもって本格的にストーリーが始まるところのフーバー長官を題材にした「Jエドガー」が、まさにフーバーという公的な姿ではなくJエドガーというさまざな矛盾に満ちた個人の奥深くまで描いた傑作だったのを思い出すと、本作はその点ちょっと物足りなさを覚えるのは否定できません。

娘との関係などは、ひょっとしたらアメリカの観客にとっては既知のものなのかもしれないが、非常にあっさり触れられ、かつ解決している。日本人の私としてはもっと丹念に描写して欲しかったし、いくらなんでも和解のプロセスが唐突かつ性急すぎるだろと言わざるを得ない。
また、彼がなぜここまでFBIを守ろうとするのか、単なる官僚的な組織防御なのか、正義感からなのか、それとも彼の個人的な心理があるのかなども描いてほしかった。
「いやいや、変にそういった理屈づけをしないのが品の良さなんだよ」という擁護もあるかもしれないが、味付けしないで事実を陳列するんだったらウィキペディアでも読めばいいわけで、いくら伝記を原作にしていようと、劇映画であるからには物語性は不可欠だと思う。
本作も脚色がないわけではなく、例えばワシントンポストの記者との密会などは、確か実際は地下駐車場で行われていたと思いますが、本作ではなダイナーでひそひそ話をしており、ここのシーンは緊張感があってかなり良かったです。
ゆうた

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